NHK会長:異例の連日参考人 予算委審議中断も

毎日新聞 2014年02月20日 20時23分(最終更新 02月20日 20時27分)

参考人として臨んだ衆院予算委が休憩となり、退出の足を止めて隣に座った新藤義孝総務相(左)の言葉を聞く籾井勝人NHK会長=国会内で2014年2月20日午後0時12分、藤井太郎撮影
参考人として臨んだ衆院予算委が休憩となり、退出の足を止めて隣に座った新藤義孝総務相(左)の言葉を聞く籾井勝人NHK会長=国会内で2014年2月20日午後0時12分、藤井太郎撮影

 就任記者会見の発言をめぐり、NHKの籾井勝人(もみい・かつと)会長が連日、参考人として国会で追及を受ける異例の事態となっている。議員から数時間にわたって発言の適否や取材現場への影響について聞かれるが、明確な答弁を避け、20日の衆院予算委員会は審議が何度も中断。不用意な発言とその撤回を繰り返す一方、続投には意欲を見せている。NHKの職員や経営委員には困惑と徒労感が広がっている。

 「発言は既に取り消した」。予算委の審議で籾井会長は、民主党の原口一博氏から就任会見での発言が政治的公平を定めた放送法に違反していないか何度問われても、事前に用意したメモを繰り返し読み上げた。明確な答弁を求め野党議員が二階俊博委員長を取り囲み、審議は度々中断した。

 「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」との発言に関し、1月31日の衆院予算委で「赤と白で置き換えて」と述べた発言について、籾井会長は「あまり適切ではなかった。取り消した」。

 19日の参院総務委では一連の発言について「ちょっと失言してしまった」と述べ、民主の吉川沙織氏に「公共放送への疑念が持たれているのに『ちょっとした失言』とは、いかがなものか」とただされ、即時撤回した。日本維新の会の片山虎之助氏から従軍慰安婦や秘密保護法などに対する考え方がその後変わったか聞かれると「変わってません」と答え、すぐに「個人の思想を言うのは控えたい」と軌道修正する場面もあった。

 2004年のプロデューサーによる制作費着服事件では、受信料の不払い世帯は最大128万件に達し、翌年に海老沢勝二会長が辞任に追い込まれた。一方、籾井会長に批判的な視聴者意見は19日までに約1万1300件。30代の職員は「取材相手から『おたくの会長はどうなっているのか』と1時間もしかられた。取材現場に影響が出ているのは明らか。士気も下がっており、早く辞めてほしい」と話した。国会で連日辞任を求められているが、籾井会長は20日の答弁でも「信頼されるNHKのために全身全霊を尽くす」と意欲を語った。

 籾井会長の参考人招致は20日までに衆参で計10回に上る。経営委員会は25日の次回会合でも引き続きこの問題を話し合う。委員の一人は「会長本人は(自分は)ポカをやったわけじゃないと思っている」と、疲れ切った様子で話した。【土屋渓、有田浩子】

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