2014年1月8日、大阪・福島にオープンしたサバ料理専門店「SABAR(サバー)」が話題を集めている。
シメサバや塩焼きといった定番料理はもちろん、トマト煮、フリット、サラダなど世界各国の料理でアレンジした38種類のサバ料理を味わえる。使用するサバは身が軟らかく、脂がよくのったトロサバのみ。トロサバという名称も消費者の間ではまだ浸透していないが、「サバの概念を覆すうまさ」と近隣のビジネスパーソンの間で評判だ。
トロサバは、9〜12月が旬の真サバのなかでも脂質含量が21%以上のサバのこと。水温が低いほど脂肪を多く蓄えるため、東北近海などの寒流で育ったサバが多い。なかでも、日本最北端の冷涼な漁場で獲れる青森県の「八戸前沖さば」が代表的だ。八戸漁港から数キロ離れた沖合の漁場で獲れ、1本釣りで活け締めにするため、巻き網漁で大量に捕獲されるサバとは違い、新鮮なのが特徴。ブランドサバでは豊後水道の「関さば」が有名だが、八戸前沖さばと比べると身が締まっているという。
トロサバに魅せられ、サバ寿司専門店を立ち上げたのが、サバ寿司製造販売「鯖や」の右田高有佑社長だ。同社では脂肪含量23%、魚体650グラムを基準としたトロサバを使用。大阪府豊中市の本社を拠点に、阪急百貨店うめだ本店、大丸梅田店、阪急庄内駅の直営店とJR西日本の駅弁や伊丹空港の空弁、ネット通販、催事販売などで展開している。
「八戸前沖さば大使」にも任命された右田社長は、自ら“サバ博士”として親子やシニア向けのセミナー、寿司屋体験教室など食育にも取り組む。トロサバのおいしさを世間に広めるのが目標だ。
サバーもその一環。トロサバの認知度アップとブランドの確立を目指し、アンテナショップとしてオープンした。「サバーを情報発信地とし、いずれはサバ寿司の卸事業を全国に広げていきたい」と意欲を燃やす。