2014年02月20日(木)
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県、問われる危機管理 幹部登庁3人だけ、本部設置ずれ込む
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山梨県内は19日も住民の孤立や交通障害が続くなど大雪被害が長期化している。県は「対応が後手に回ったことはない」とするが、県民の不満は災害対策本部の設置時期など県の初動の遅れに向いている。「想定外」の降雪とはいえ、被害が出始めた週末に登庁して対応に当たった職員は少なく、災害への行政の危機意識の欠如が問われている。
「批判はあろうが、本部設置が遅れ、やるべきことができなかったということはない」。横内正明知事は18日の本部会議後、こう強調した。
県によると、自衛隊に災害派遣要請をしたのは本格的な降雪となった14日午後9時すぎ。自衛隊は15日午前に受理し、午後には自衛隊ヘリが立ち往生車両などの上空視察を始めた。集落の孤立や建物倒壊など深刻な影響が出始めていたが、山梨日日新聞の取材ではこの日、特別職と部局長16人のうち、登庁して対応に当たったのは3人だけだった。
横内知事は「15日朝に降雪で登庁できず、自宅から電話で県幹部に被害把握や人命救助を指示していた」(県)。16日は県庁で、政府とのテレビ会議で支援を求めるなど関係機関に復旧要請を行った。
ある県幹部は「多くの職員は自発的に登庁する意志があっても降雪で難しかった」と釈明するが、全庁挙げて対応する災害対策本部の設置は、雪が降りやんでから丸2日後の週明け、17日にずれ込んだ。
15日早朝に県警や自衛隊などと設けた豪雪対策連絡会議で対応に当たったのは、約3千人いる県職員のうち防災や土木など限られた担当の80人ほど。情報収集や除雪、関係機関との連絡に忙殺された。
除雪では、記録的な降雪の可能性が高まったとし、県は14日夕に支援協定に基づき県建設業協会に要請し、加盟の224社が、同日夜から作業に入るなど初動は早かった。
しかし大雪で運転手が除雪に使う重機にたどり着けないケースや、立ち往生した車両が続出し、幹線道路の除雪は進まなかった。県の担当者は「経験のない大雪で仕方のない部分があった」とする。
対策本部では140人を超える職員が庁内調整や外部との連絡、情報発信に当たっている。だが「過分な負担がかかっている」(担当職員)状況で、情報が錯綜さくそうするなど対応に混乱が生じる場面もある。
「県地域防災計画」は大雪による農作物や交通関係などへの対応が中心で、孤立集落などへの具体的な対応は示されていない。佐野芳彦県防災危機管理監は「今回の経験を検証し、防災対策を見直していきたい」としている。
一方、甲府市の宮島雅展市長は15日正午前に市役所本庁舎に登庁し、雪害対策本部を設置。富士吉田市の堀内茂市長も15日午前に登庁し、夕方まで災害対策本部を指揮した。
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