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2014年02月20日(木)

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大雪で立ち往生、車中で子どもと一夜 徒歩8時間 決死の生還

北杜市須玉町比志の自宅に帰る県道で14日に車が立ち往生した会社員神戸高志さん(31)が19日までに山梨日日新聞の取材に応じ、婚約者の子どもらと車で一夜を明かし、徒歩で自宅を目指した当時の心境を語った。雪をかき分けながら歩くこと8時間以上。たどり着いた自宅は雪に閉ざされていた。

 神戸さんは14日夜、仕事を終え、婚約者(31)と3人の小学生の子ども、母親(61)と車で自宅に向かっていた。県道を進むにつれ雪が降り積もり、自宅まであと2〜3キロの地点にあるトンネルから出られなくなった。近くの駐在所に助けを求めたが、スコップを貸してくれただけ。雪崩がごう音を立てる中、一夜を過ごした。

 翌朝、トンネルの先は高さ1メートル以上の雪。携帯電話の電池が切れて助けを呼べず、車内には飲み物さえない。子どもたちの精神状態は限界に近づく。自宅には介護が必要な祖母(91)が1人。待っていても助けがいつ来るか分からない。神戸さんは覚悟を決めた。

 スコップで雪をかき分け、道をつくりながら進むが、雪崩で2メートル以上積もっている場所もあった。足の悪い母親ははうようにして進み、子どもたちの体は冷え、頬は紫色に変わっていた。

 集落に近づくと、気づいた住民が道をつくってくれ、ようやく自宅にたどり着いた。約30世帯の集落の大半は高齢者。10人ほどで雪かきをし、行き来はできるようになったが、県道の除雪は手つかず。食料が底を突き始めた。テレビやインターネットなどで情報を集めたが、「須玉町比志」に関する情報はなく、寸断された県道は通行止め情報にさえ入っていなかった。「いつまでこんな状態が続くのか」。重機で除雪が進む他地域のニュースを耳にするたび、うらやましく感じた。

 18日にようやく県道が除雪されたが、気持ちは複雑。「もっと大きな災害が起こったら一体どうなるんだろう。北杜市の隅にある小さな集落は、真っ先に忘れられてしまう」


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