中東:米国離れと露への接近顕著に…露大統領発言に米警戒

毎日新聞 2014年02月17日 16時18分

 【カイロ秋山信一】ロシアのプーチン大統領がエジプトのシシ国防相の次期大統領就任を支持すると表明したことに、米国が反発している。外交では「内政不干渉」を掲げることが多いロシアだけに、プーチン氏の発言は行き過ぎだった面もある。ただ中東では昨年来、親米国の代表格だったエジプトとサウジアラビアの米国離れが顕著になっており、米国の反発の背景にはロシアへの警戒感もあるとみられる。

 「大統領選への出馬は責任ある決断だ。私自身とロシア国民を代表して、幸運を願う」。AP通信などによると、プーチン氏は13日、モスクワを訪問したシシ氏との会談で、こう言葉をかけた。シシ氏は今春にも予定される大統領選への出馬を正式には発表していないにもかかわらず、プーチン氏は出馬を前提とした踏み込んだ発言をした。シシ氏はプーチン氏の言葉には返答せず、治安改善に意欲を示した。両者は約10分間会談し、プーチン氏はシシ氏にジャンパーをプレゼントした。

 シシ氏はモスクワで開いた外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)に出席。協議後には「国内問題への外国の干渉を非難する」とする共同声明を発表。米欧メディアでは、米国へのけん制との受け止めが広がった。

 これに対して、米国務省のハーフ副報道官は「指導者を選ぶのは米国でもロシアでもなく、エジプト国民だ」とプーチン氏の発言を批判。さらに「外国(であるロシア)が、他国に対して『(中東地域に)干渉すべきではない』と声明を出すなど皮肉なことだ」と反発した。

 アラブ諸国では昨年以降、米国離れとロシアへの接近が顕著になっている。特にサウジアラビアは、米国が核交渉を通じてイランと接近していることや、シリア問題に消極姿勢を示していることに反感を抱いている。昨年12月にはサウジの情報機関トップのバンダル王子がモスクワでプーチン大統領と会談している。

 ロシアメディアによると、今回の2プラス2では、ロシアが戦闘機や防空システムなど総額30億ドル(約3000億円)分の兵器をエジプトに売却することで合意した。代金はエジプトを支援するサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)が肩代わりして、支払うという。

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