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【社会】

除雪阻む壁5メートル 秩父の集落孤立解消難航

大滑トンネルの中津川集落側出口。高さ5メートルの雪で埋まっている=埼玉県秩父市で

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 大雪の影響で、関東地方の山間部では十九日も孤立状態が続いた。被害が深刻な埼玉県秩父市の大滝地区のうち、中津川・中双里(ぞうり)の二集落では、計三十七世帯五十三人が孤立したままだ。集落へ続く道には降り積もった雪に雪崩が重なり、高さ五メートルにも達している。土木業者が除雪作業を続けているが、孤立解消の見通しは立っていない。 (羽物一隆)

 この二集落は北が群馬県境、南西が長野県境という埼玉県最西部にある。集落まであと約八キロという地点にある「大滑(おおなめ)トンネル」付近で、除雪を進めている土木業者の作業を取材した。

 トンネルまでの県道は、車一台が通れるようになっていた。しかし、トンネルに入っても、集落側の出口は高さ五メートルの雪の壁にふさがれていた。現場の除雪を担当するサンセイ(本社・秩父市)の斎藤収(おさむ)さん(48)が十八日、雪の壁を歩いて登り、集落方面の様子を調べたところ、三百メートル先まで同じ規模の雪が積み上がっていた。「そこまで除雪するには順調にいっても三日はかかる」。除雪が済んでも、山の斜面に残る雪が雪崩となって再び道をふさぐ可能性が高い。「実際には作業がいつ終わるかは分からない」

 作業が難航している理由の一つが、除雪用パワーショベルをトラックなどで運び込めないことだ。時速約四キロしか出ないパワーショベルが自走して現場に向かわざるを得ない。雪をかきながら進む場所もあるため、さらに時間がかかる。

 現場近くで除雪作業に携わる同社の新井裕二さん(52)は「大雪で縁石やガードレールが見えない。かなり気を使う」と話す。

 十九日、中津川集落では自衛隊が旧中津川小学校跡地を臨時のヘリコプター発着場にするため除雪や圧雪の作業を行い、支援活動を始めた。斎藤さんは「除雪のめどが立たない中、孤立した住民を救う使命は重圧でもある。本音を言えば、早くヘリで住民を救助してもらいたい」と訴えた。

 

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