特集 週刊文春 掲載記事

ミス・インターナショナル吉松育美 涙の告白
私を襲った“ストーカー男”と“盗撮探偵”
【全文公開】

自宅を撮影する2人組の探偵

 9月25日、谷口氏は再び実家に電話をかける。このときの父親との通話も、録音記録として残っている。谷口氏はこう言っている。

〈不動産執行っていって、僕らが物をおさえようとする、と。(吉松とテイラー氏は)一緒に住んでらっしゃるので。ね? そこで、弁護士と鍵屋さん連れて、そこで鍵がかかってたら、強引に開けて入っちゃうんですよ〉

 彼は、差し押さえのため、吉松の自宅に踏み込むことになると迫っているのだ。

 吉松はこう反論する。

「谷口さんはあたかも私とマットが一緒に住んでいるように言っていますが、私の自宅はオフィスも兼ねており、3階建ての一軒家の地下1階と2階部分がオフィスやスタジオ、1階部分が住居スペースになっています。海外とも仕事のやりとりをしているので、そこへはスタッフが24時間出入りしている。

 それに『誰かに見張られているのではないか』という思いから、1人になるのが怖く、いつも誰かにいてもらっている。マットはその1人にすぎません」

 監視されているのではないかという吉松の不安は、杞憂(きゆう)に終わらなかった。

「9月6日、自宅兼オフィスから外出しようとしたとき、怪しい中年男性が隣に住むおばあさんに話しかけているのを目撃しました。その後、おばあさんに話を聞くと『お隣にはどういう人が住んでいるのか』と細かく尋ねられたそうです。

 30日、オフィスで仕事をしていたときには、男性が室内を覗きこんで写真を撮っているのが、窓から見えたんです。すぐに警察を呼びましたが、逃げられてしまいました」

警察に突き出された探偵

 このとき吉松側が撮影した写真がある。写っているのは、スーツ姿の強面(こわもて)の男性ら2人の姿だ。

 警察に事情を聞かれた後、テイラー氏は番犬と一緒に、周辺を見て回った。そして、先ほどの不審な男性2人組を発見した。

探偵の一人

「マットがそのうちの1人を捕まえ、警察に連れて行ったところ、彼は探偵だった。警察の取り調べには『自分の依頼人は、マットにお金を返してもらっていない』と説明したそうです。これで、依頼人が谷口さんだと分かりました」

 実家への接触や、探偵を使っての身辺調査。吉松のような若い女性が不安や恐怖心を抱くのは当然だろう。

 このとき吉松の脳裏をよぎったのは、2012年11月の逗子ストーカー殺人事件だったという。この事件で加害者は、探偵業者を使って被害者の住所を割り出したとされる。

 さらに、谷口氏の常軌を逸した行動は、吉松の仕事にも影響を及ぼし始める。

【次ページ】 谷口氏は「彼女の思いこみ」

この記事の掲載号

2013年12月19日号
2013年12月19日号
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2013年12月12日 発売 / 定価380円(税込)
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