特集 週刊文春 掲載記事

ミス・インターナショナル吉松育美 涙の告白
私を襲った“ストーカー男”と“盗撮探偵”
【全文公開】

実家への度重なる干渉

 この男性は、別の番組の入構証を使って入り込んでおり、番組スタッフたちからこう注意を受けた。

「ケイダッシュさんって会社は知っている、名前は知っているんですけども、やっぱり、こういう所でやられちゃうと困るんで」

「スタジオに来ていただくのは困りますので」

収録現場に現れた谷口氏

 招かれざる客の名は、谷口元一氏。芸能事務所・ケイダッシュの幹部である。渡辺謙や高橋克典が所属する同社は、数ある芸能事務所の中でも大手として知られている。

「谷口氏は、グループ所属モデル・蛯原友里の“エビちゃんブーム”を仕掛けるなど、剛腕として鳴らしている。ケイダッシュの関連会社・パールダッシュの社長も務めています」(芸能記者)

 そんな彼は、吉松の海外エージェントであるテイラー氏との間に、金銭トラブルを抱えていた。

 テイラー氏は、2008年に自殺した元TBSアナウンサー・川田亜子さんの「最後の恋人」とされる人物。ハリウッドで映画やテレビ番組のディレクターを務めた経験をもつという彼は、吉松が世界一を目指すにあたり、コーチとして彼女を指導してきた。

 吉松によれば、2012年末に所属事務所から独立して会社を設立した際、海外のエージェント会社と契約。テイラー氏はそこから派遣されているという。

「金銭トラブルが起こったのは、08年のこと。谷口氏は川田さんの紹介でテイラー氏に会ったそうです。テイラー氏は、核兵器解体を掲げるNGO団体の代表でもある。谷口氏は彼に、ロシアでの解体現場の撮影を持ちかけ、費用の一部として1000万円を貸した。しかしこの撮影が実現しなかったので、谷口氏は返済を求めたが、テイラー氏は『寄付だ』と主張、裁判になったのです。結果は谷口氏側の勝訴でした」(同前)

 当事者のテイラー氏はこう語る。

「お金を返済する意志はありますし、実際に返済スケジュールをお互いの弁護士同士で話し合ってもいた。しかし2013年の3月になって、谷口氏側が『吉松育美の個人保証が欲しい』と言い出したのです。私は『彼女は無関係だ。だったらこれまでの交渉を取り下げて、自己破産します』と返事した。それ以降、交渉はストップしています」

 谷口氏は、テイラー氏の借金問題に、吉松を巻き込んでいった。6月12日、谷口氏から吉松の事務所に、テイラー氏の返済を催促する電話が入る。そこから、彼女にとって恐怖の日々が始まった。

「事務所に電話があった翌日、彼は鳥栖市の私の実家に電話をしてきたのです。彼はどうやって私の実家の番号を突き止めたのでしょうか。怖かったし、両親も不安がっていました」

 その電話口で谷口氏は、吉松の父に、当時吉松がCM契約の交渉中だった企業について「あそこの亡くなった会長も知っているし、いまの社長とも仲がよい」と語ったという。

「その交渉の話は、内々で進めていたもの。それをどうして彼が知っていたのか。脅しにしか聞こえませんでした。彼は私の仕事やプライベートのことを全て監視しているのではないか、と恐ろしくなりました」

 その後、谷口氏は実家にテイラー氏との裁判資料を送りつけてきた。実家への度重なる干渉に恐怖を募らせた吉松は、司法関係者に相談。アドバイスに基づき、谷口氏の言動を出来る限り記録し始めたのだという。

【次ページ】 自宅を撮影する2人組の探偵

この記事の掲載号

2013年12月19日号
2013年12月19日号
日本人は知らない 韓国マスコミが突いた朴槿恵大統領の「急所」
2013年12月12日 発売 / 定価380円(税込)
関連ワード

吉松 育美谷口 元一ケイダッシュストーカー

登録はこちら

週刊文春について 毎週木曜日発売 定価380円(税込)

※発売日・価格は変更の場合があります。