今日は、以下の記事について検証します。
【アメリカに降った大雪は、HAARPが原因のようです。しかも普通の雪ではありません。】

以下抜粋

実際に雪が解けないのです。解ける前に消えてしまうのです。さらに大気中に、シロップとプラスチックを燃やしたような異臭が漂っています。私は化学物質の臭いや排気ガスに対してアレルギー反応を起こしますが、私の右目が痒くなりましたが、今はその症状はなくなりつつあります。
これは雪ではありません。工業薬品が含まれた水分が含まれています。確かめてみてください。彼らは大気中に何を撒いているのでしょうか。長い間、ケムトレイルが撒かれた結果、雪がこのような状態になってしまったのでしょうか。それとも福島からの放射能が原因でしょうか。それともこれらの全てが原因なのでしょうか。我々を濡らす雨の成分は何なのでしょうか。雪はそのままにしておくと自然に溶けてしまいます。しかし雪の成分が化学薬品なら火をつけると燃えますが、水分はただ解けるだけです。この雪は臭いがあり燃やすと煙が出ます。
子供たちは雪で遊ばないでください。この冬、1羽のコマドリ以外は鳥たちを全く見かけていません。例年なら、様々な種類の鳥たちを見ることができるのですが。。。鳥たちはどこに行ってしまったのでしょう。死んでしまったのでしょうか。



以上、引用終了



アメリカでは、今シーズンは記録的な豪雪のようです。
普段あまり積もらない所でも、積雪となったせいでしょうか、「ただの雪」を「異常な雪」だと思い込んだ人がユーチューブに動画を投稿したのをきっかけにして、「ケミカルな雪」だと騒ぎだす人があらわれました。

結論から先に言いますと・・・・・・ただの雪です。

アメリカは陰謀論に嵌る人が多く(ケムトレイルもアメリカ発の陰謀論)、その人たちは、自分の考えをユーチューブ、ブログ、ツイッターに投稿します。
陰謀論に嵌った一般人が、専門家の見解の一部だけを切り取ったり、適当につなぎ合わせたりして、「自分の考えた説」をインターネットで発信するのですが、これが外国のサイトだと、素人の妄想なのか専門家の言っていることなのか、ぱっと見ただけでは区別がつきません。
そのため、簡単に騙されてしまう日本の陰謀論者は、海外の妄想家の下請けに成り下がるわけです。

アメリカ発の陰謀論は、ある程度時間が経つと日本に入って来ます。
日本の陰謀論者はアメリカが発信元だと、何の検証もせずにコピペしてしまいます。
アメリカ発の陰謀系情報については何ら検証することなく鵜呑みにしてしまうのに、そういう人の多くが、なぜか反米感情を露わにするのも、アメリカの陰謀論者の受け売りなのかもしれませんね。

傍から見ると実に不可解な態度ですが、要するに、自分の陰謀論を補強する説なら何でもOKという、なりふり構わない無節操さが表れている、と見ることもできます。


では、本題の溶けない雪についてです。

冬山登山で、手間のかかる大変な作業があるのですが、何か知ってます? 
飲み水づくりなんですね。
上の動画の人は、雪の見た目の体積分、水にならないとオカシイと考えたようですが、そこが大きな間違いです。

雪は水とは違い、構造はスカスカで、そのほとんどが空気なのです。
ん?わからない?
では説明しましょう。

縦横高さ10センチのマスに水を入れた時の重さは、1キログラムですね。
  1リットル(10㎝×10㎝×10㎝のマスの体積)=1キログラム

同じマスに新雪(降ったばかりの雪)を入れると、100グラム程度。
つまり、コップ一杯の新雪を集めて溶かしても、水になった時にはコップ10分の1程度になってしまうという訳。

これは雪の構造を見れば一目了然。
雪の結晶

8e7b6871-s.jpg

上記2枚の写真は、電子顕微鏡で見た雪の結晶写真です。
水と違って空間だらけですね。空気をたっぷり含んでいて・・・・分かり易く言うと「スポンジ状」です。

雪は、降ったばかりはフカフカですが、溶けるとざらめ雪になってシャーベット状になっていきますね。
雪は、溶けだすと、空気が入っていた空間に水が入り込むので、ボタボタ垂れるようには水にならない、というだけの話です。
(スポンジに水がしみこむのと同じ)


次は、ライターで炙ると黒くなったから「ケミカルな成分」が入っているという主張について。

これは、ライターの成分がブタンガスで、炭化水素だからです。

【wikipedia ブタン】 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%82%BF%E3%83%B3

十分な酸素がある場合、ブタンは燃焼により二酸化炭素と水を生成する。酸素が不足した場合は不完全燃焼が起こり、すすや一酸化炭素もともに生成してくる。



また、炎の色で、完全燃焼しているのか不完全燃焼なのかは分かります。
赤系・オレンジ色は不完全燃焼
まあ、冷たい雪にライターを近づければ不完全燃焼ですすがでるのは当然です。
ですから、黒い微粒子は、ただの炭素のすす、ということになります。


いや、「工作員」の書くことなんか信じられない(笑)という人は、次の実験をしてみましょう。

①ガラスの板を用意します。(耐熱ガラスのお皿、写真立てのガラスなど)
②ライターで下から炙る


みるみる黒くなりますね。
これが「すす」です。
ガラスは濡れ布巾でふけば元通りになります。

そして、あたりに充満した匂いをかいでみてください。
動画の人が言っているケミカルな臭いがしますから(笑)
つまり、ケミカルなにおいの原因は、雪にあるのではなく、ライターの方だったのです。

余談ですが、日食グラスというものがなかった頃は、ガラスの板をろうそくで炙ってすすをつけたものを自作していたそうです。
ただ、今ではその方法は危険だと警告が出ています。以下のサイトを参考にしてください。
 国立天文台 http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/faq.html#q6

というわけで、今回も、「溶けないケミカルな雪」という陰謀論は、簡単に論破出来てしまいました。


年配の方ならば、昭和38年の記録的豪雪、いわゆる三八豪雪を覚えておられるはず。
この時はあまりの豪雪だったため、自衛隊が火炎放射機で雪を溶かそうと試みたという、嘘みたいな本当の話があります。
「三八豪雪 自衛隊 火炎放射機」で検索すると、その時のことを覚えている方が、当時のことを書いておられるので、興味のある方は、上記のキーワードで検索してみてください。

この、自衛隊の火炎放射機による消雪実験は、雪の表面を少し溶かしただけで失敗に終わりました。
素人考えだと、火炎放射機で一気に雪が消えそうな感じがしますが、実際は全然ダメだったわけですね。

結局、シャベル等の従来の除雪方法の方が断然効率が良かったので、以後、自衛隊が消雪に火炎放射機を使うことは二度とありませんでした。

雪を溶かすには、莫大な熱量が必要です。
0度の水1グラムの温度を1度上げるのには1カロリですが、
0度の雪を0度の水にするのに必要な融解熱は、80カロリーも必要なのです。
雪が降っている時よりも、溶ける時の方が寒く感じるのは、そのためです。

雪は火を使ってもなかなか溶けないものなのだ、ということがお分かりいただけたでしょうか?


最後に一言
このブログを読んでくれている小学生、中学生の方へ
この程度のデマに騙されるようでは、全然ダメです。
妄想なのか、科学なのか、ちゃんと自分で判別できるように、理科の授業は真面目に受けてくださいね。


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