名古屋の街を歩くと目につく「ナゴヤ」。データベースで調べると、片仮名で書かれる割合は東京や大阪よりずっと高い。なぜなのか探ってみると、意外な理由も浮かびあがってきた。

 市内の繁華街・大須の雑居ビルにある格闘技道場、ナゴヤファイトクラブ。入り口の看板には「名古屋」とあるが、10年ほど前から正式名称にナゴヤを使う。大阪の道場関係者に、道場の名前を間違って片仮名で書かれたのがきっかけだ。マネジャーの藤澤輝生さん(49)は「画数が減って、備品や試合申込書に書くのが楽でいい」と話す。

■表記率、トウキョウの7倍

 実際に、ナゴヤ表記は多いのか。国立国語研究所の「現代日本語書き言葉均衡コーパス」で調べた。現代日本語の書き言葉の全体像をつかもうと作られたデータベースで、出版物やブログ、ネット掲示板など1億語以上を収録している。

 東京、大阪、名古屋を片仮名、漢字、ひらがな、アルファベットの4種で検索。合計件数に片仮名表記が占める「片仮名率」を比べた。片仮名のナゴヤは2・58%で、次点の「トウキョウ」「トーキョー」の7倍、「オオサカ」「オーサカ」の18倍と圧倒した。