【ソチ五輪】「Water」が通じない!? 東京五輪にも教訓
産経新聞 2月19日(水)12時31分
【ソチ=佐々木正明】ロシア南部の保養地ソチで開かれている冬季五輪は、会場のあちこちで外国人観光客から「英語の通じない五輪」との声が聞かれる。ソ連時代の教育の名残やソチの国際化が遅れたことが原因とされるが、駅で身体検査する警察官や地元のタクシー運転手のほとんどはロシア語しか話さず、トラブルが続発。ソチの課題は、非英語圏で行われる2020年東京五輪にも大きな教訓となりそうだ。
英語が通じず最も困る場所の一つが、治安対策のため厳重な持ち物検査が行われている鉄道駅だ。オーストリア人のフローリアン・ミッチェラさん(27)は「簡単な英単語で持ち物を説明してもわかってくれない」とあきれ顔だ。
英語に堪能な30代の日本人女性も、売店で飲料水を買おうとしたところ、店員に「Water(水)」が通じなかったと驚く。
夏季・冬季五輪開催地を16大会連続で訪れているという米国人のトッド・ダグラスさん(52)は、「こんなに英語が通じない五輪は初めて」と話す。
黒海沿岸のソチはあくまでロシア人や旧ソ連圏の人々の保養地で、これまで国際的にはあまり知られていなかった。五輪を機に、これだけの外国人が訪れるのも初めての経験だ。昨年秋の地元調査会社の調べでは、約8割の市民に英語の基礎的知識がないという結果が出ている。
国際オリンピック委員会(IOC)も、今後の五輪が16年夏季のリオデジャネイロ(ブラジル)、18年冬季の平昌(韓国)、20年夏季の東京と、非英語圏での開催が続くだけに、「言葉の問題が大きな課題となる」と指摘している。
それでも、言葉の壁はテクノロジーの発展とともに乗り越えられる問題かもしれない。米国人のジェフ・ウエルズさん(45)は「ソチではスマートフォン(高機能携帯電話)の通訳ソフトが大いに役立った」と話す。東京五輪では端末を利用した外国人とのコミュニケーション対策も必要になりそうだ。
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