食べログ:削除求め提訴 「隠れ家バー」店の売り台無し
毎日新聞 2014年02月19日 15時00分(最終更新 02月19日 20時57分)
「秘密の隠れ家」を売りにバーを営業しているのに、大手飲食店情報サイト「食べログ」に店の写真などを投稿され損害を被ったとして、バーを経営する大阪市内の会社が、食べログを運営するカカクコム(東京)を相手取り、情報削除と330万円の賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。バーはメディアに登場せず、常連とその紹介客向けに営業しているという。19日の第1回口頭弁論で、カカクコム側は争う姿勢を示した。
食べログは飲食店の所在地や価格帯、営業時間などの基本情報に加え、写真や感想など利用客からの投稿情報や5点満点の格付けも載せている。全国76万店の情報がデータベース化されており、月間アクセス数は5000万件を超え、国内最大手とされる。原告側の代理人によると、サイトへの掲載が営業権を侵害しているとして食べログに削除を求める訴訟は異例という。
訴状によると、バーは大阪市内のビルに2010年に開店した。看板は出しておらず、店の入り口の鉄扉には鍵がかかっている。客はインターホンで解錠を求めて店に入る。客のほとんどが常連か紹介で訪れる人という。
原告会社は、事前にどんな店か写真などで確認せず来店してもらうことで「心に残るサービスにつながる」としており、客には、情報サイトなどに口コミを投稿しないよう呼び掛けている。店のホームページ(HP)を開設しているが、「店を元々知っている人のため」だという。
しかし、12年11月、バーを訪れたとみられる人が食べログにバーの写真や感想を投稿し、掲載された。店内の写真や入店方法が紹介されていた。
昨年夏に投稿に気付いた原告会社はカカクコムに削除を求めたが、「ガイドラインに反しておらず、表現の自由だ」として応じなかったという。
原告会社の社長(45)は取材に「多数の人が閲覧するのに、店の意向に反して掲載を続けるのはおかしい。マジシャンの種を明かされるようなものだ」と話し、カカクコムの担当者は「回答は控える」としている。【内田幸一】