小異を捨てて大同についたということだろう。

 民主、日本維新の会、みんな、結い、生活の野党5党が、衆院小選挙区の定数を「5増30減」か「3増18減」し、一票の格差を是正する選挙制度改革案をまとめた。

 本来は衆院と参院の役割分担をはっきりさせた上で、それぞれどのような選挙制度がふさわしいのか、一体で議論すべきだ。議席をいくつ減らすという「数合わせ」に矮小(わいしょう)化して済まされる問題ではない。

 だが、本格的な改革に向けた第一歩だととらえれば、議論の基礎となる案が出た意義は大きい。次期衆院選に間に合うよう全ての党が誠実に議論し、何としても結論を出す必要がある。

 そもそも一票の格差を生む主たる要因は、議席をまず都道府県に一つずつ割り振る「1人別枠方式」の存在だ。最高裁は速やかな廃止を求め、12年11月の法改正で法律の条文からは消えた。しかし昨年6月に成立した「0増5減」の新区割りでも、1人別枠に基づく議席の割り振りは実質的に残った。

 野党案は、これを「名実ともに廃止」する方針を盛り込んだ。しかし与党は後ろ向きで、安倍首相も国会で「現在では違憲状態が解消されたと考えている」と答えた。

 最高裁が昨年11月、1人別枠の問題は解決されていないとしつつも「0増5減」に一定の評価を与えたことが、この開き直りを後押しする。甘い司法判断と、それをつまみ食いする政治。おなじみの構図である。

 忘れてもらっては困る。自民、民主、公明3党は、前回衆院の解散当日、定数削減について、「選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い」必要な法改正を行う、という合意書に署名している。それが「0増5減」どまりか。あまりにも怠惰であり、無責任だ。

 「国権の最高機関」たる国会の正統性を担保するのは、正しく選挙された有権者の代表によって構成されているという端的な事実である。その根本が揺らいでいるのに、なぜ自ら積極的に手を打たないのか。

 党利を超えて、大義にかなう結論を出す。深まる政治不信を少しでもぬぐうために、ここで国会の矜持(きょうじ)を示さなければならない。その議論を主導する責任は第1党である自民党にある。

 自分たちの手に余るなら、情けないことだが早く有識者による第三者機関に議論を委ねるべきだ。衆院議員の任期満了まで3年を切った。いつまでぐずぐずしているつもりなのか。