さて、世界のスノーボードシーンは日本人選手の台頭もあって、この10年で大きく様変わりしたわけだが、全く変化していない、むしろ、後退している部分もある。しかも、根本に関わる部分で。その問題とは何か。
■関係最悪、IOCやFISと相いれず
ブリッジーズさんがこう指摘する。「今、国際オリンピック委員会(IOC)とFIS、そしてスノーボードの関係は最悪な状態にある」
そもそも、スノーボードはIOCやFISと相いれない。
スノーボードが五輪の競技になった。そこまではいい。しかし、IOCはスノーボードをFISの管轄とした。そこから、おかしくなった。もともとスノーボードには、スノーボーダーたちが組織した国際スノーボード連盟(ISF)という組織があった。彼らが競技を組織し、様々な大会の基準も設けてきたのである。それがスノーボードが五輪競技にまで発展する原動力となったのだが、IOCはなぜかISFを外した。
多くが首をかしげたが、それも当然。FISはむしろ、スノーボードの人気がそれ以上に高まることを恐れ、スノーボードが五輪競技となることに反対の立場だったのだ。スキー業界は市場を奪われる懸念を隠さず、ゲレンデではスノーボーダーを締め出すなど対立を続けており、2つのスポーツが同じ団体に属することになるとは、互いに想像しなかったし、望まなかった。
■FISに選手流れ、スポンサーも
スキーとスノーボードは、全く別のスポーツ。この点においてFISとISFは唯一、共通した認識を持っていたといっていい。が、いったんスノーボードを傘下に収めると、FISは五輪出場のための選考大会を、FISが主催する大会に限るとし、選手を囲い込んだ。
いわば五輪を人質にとった格好である。結果的に五輪に出たい選手がISFからFISの大会に流れると、それに伴ってスポンサーも移った。「これが狙いだったか」とISFが気づいたときにはもう遅く、資金源を失った彼らの寿命は長くなかった。
もちろん、そんな状況をスノーボーダーたちが歓迎するはずはなく、当時、いや、今もスノーボード界ではカリスマ的な存在感を誇るノルウェーのテリエ・ハーコンセンらは明確にIOCとFISを非難し、長野五輪をボイコットした。
彼らが求めたのはスノーボーダーによる競技運営。だが、IOCもFISも耳を貸そうとしなかった。
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