【ソチ五輪】オランダ躍進、8種目でメダル16個 競技転向や他国研究が奏功 スピードスケート
産経新聞 2月18日(火)19時26分配信
ソチ五輪のスピードスケートは16日で男女8種目を終え、オランダが16個のメダルを獲得し、早くも同国史上最多だった1998年長野五輪の11個を上回った。もともと強い中長距離に加え、短距離でも強さを発揮。男子500メートルでは表彰台を独占する躍進ぶりだ。競技特性が共通するインラインスケートから有力選手の転向を促し、他国の技術を地道に研究する姿勢が奏功したようだ。(榊輝朗)
10日の男子500メートルは衝撃的だった。金メダルで表彰台に立った双子の兄、ミヘル・ムルダー(27)を筆頭にオランダが表彰台を独占した。金メダルを狙った日本の加藤条治(29)、長島圭一郎(31)=ともに日本電産サンキョー=は及ばなかった。
オランダのファンフェルデコーチは「この瞬間を目指し、6〜7年前から始めた取り組みが実を結んだ」と感慨に浸った。詳細について聞くと「説明するには1時間以上かかるかな」と多くを明かさなかった。
中長距離で無類の強さを発揮してきたオランダは、6〜7年前から短距離の強化に着手。競技特性が似ているインラインスケートの有力選手に転向を促し、氷上技術を伝えた。日本の今村俊明コーチは「本当に速かった」と舌を巻いた。500メートルでメダルを独占した3人は全員が転向組だ。
2006年トリノ五輪男子5000メートルで金メダルに輝いたチャド・ヘドリック(米国)は転向組で、氷に乗って4年足らずで頂点に立った。銀メダルだったのがオランダのスベン・クラマー(27)。ヘドリックのスピードに刺激され、オランダが転向を促し始めたのは想像に難くない。
さらに1992年アルベールビル五輪男子500メートル銀メダルの黒岩敏幸氏は、「日本の長島のフォームに似ている選手が多い。かなり多角的に映像分析を行って、情報を選手に伝えているのでは」と指摘する。他国の滑りを徹底研究し、技術向上を進めた。スタート技術を伸ばし、日本の強みを奪った背景でもある。
オランダはスピードスケートの人気が高く、有力選手は広告出演などの契約を得て、年間で千万単位の収入を得る選手もいるという。経済的な“うま味”も、転向が進む背景にあるようだ。
最終更新:2月18日(火)19時30分
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