未来の食卓
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【社会】「政治的」作品撤去を 都美術館「クレーム心配」2014年2月19日 07時08分
東京都美術館(東京都台東区上野公園)で展示中の造形作品が政治的だとして、美術館側が作家に作品の撤去や手直しを求めていたことが分かった。作家は手直しに応じざるを得ず「表現の自由を侵す行為で、民主主義の危機だ」と強く反発している。 (大平樹) 撤去を求められたのは、神奈川県海老名市の造形作家中垣克久さん(70)の作品「時代(とき)の肖像−絶滅危惧種」。竹を直径一・八メートル、高さ一・五メートルのドーム状に組み上げ、星条旗や日の丸をあしらった。特定秘密保護法の新聞の切り抜きや、「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止」などと書いた紙を貼り付けた。代表を務める「現代日本彫刻作家連盟」の定期展として十五日、都美術館地下のギャラリーに展示した。 美術館の小室明子副館長が作品撤去を求めたのは翌十六日朝。都の運営要綱は「特定の政党・宗教を支持、または反対する場合は使用させないことができる」と定めており、靖国参拝への批判などが該当すると判断したという。中垣さんが自筆の紙を取り外したため、会期が終わる二十一日までの会場使用は認めたが、観客からの苦情があれば撤去を求める方針という。 美術館は東京都歴史文化財団が都の指定管理者として運営。小室副館長は取材に「こういう考えを美術館として認めるのか、とクレームがつくことが心配だった」と話す。定期展は今回で七回目だが、来年以降、内容によっては使用許可を出さないことも検討するという。 中垣さんは音楽を題材にした彫刻で知られ、一九八六年に第一回ロダン大賞を受賞。出身の岐阜県飛騨市の市庭園美術館には彫刻二十体余りが常設展示されている。今回の都美術館からの撤去要請を「長年の創作活動で初めて。自分の作品を改変するのは、身を切るようにつらいことだ。あまりに暴力的な物言いで驚いている」と語った。 ◆表現の自由を抑圧 表現の自由に詳しい田島泰彦上智大学教授の話 芸術作品は表現物で、作者ごとに異なる主張を伝えるのは当然だ。会場の使用権を持つ美術館側が、立場の弱い作者に撤去や改変を迫るのは、表現の自由の根幹部分を抑圧している。従軍慰安婦を題材とした写真展が会場使用を拒否されたように、異論が出そうだから展示させないという対応は、全国的に広がっているのではないか。 (東京新聞) PR情報
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