東日本を中心に降った大雪の被害に対応するため、安倍政権は18日、豪雪非常災害対策本部(本部長・古屋圭司防災相)を設置し、安倍晋三首相が迅速な対応を指示した。首相が一連の大雪災害で会議に出たのは初めて。集落の孤立状態が長引くなか、野党から政府の初動が遅れているとの批判の声が出ている。

 安倍首相は18日、首相官邸での同本部会議で「孤立状態が続いている地域がある。対応をさらに加速化する」と述べ、孤立による凍死者を出さないことや自衛隊の態勢強化、ライフラインの復旧などを指示した。課長級による災害対策会議を閣僚がトップの同本部に格上げした。非常災害対策本部の設置は、民主党政権時代の2011年9月の台風12号以来だ。

 大雪の被害に備え、政府は14日、関係省庁による会議を開き、国民に警戒を呼びかけた。自衛隊は15日以降、自治体からの災害派遣要請を受け、人命救助や除雪、物資輸送にあたっており、今後、派遣する隊員を1千人超に増やす方針。16日には古屋防災相らがテレビ会議で横内正明山梨県知事から被害状況や必要な支援を聞き取った。

 首相は先週末、大雪を理由に予定していた福島県視察を中止し、官邸に隣接する公邸や、官邸から車で15分ほどの東京・富ケ谷の自宅で大半を過ごした。会議には出席しなかったが、首相周辺は「土日も首相と連絡をとり、迅速に対応するよう指示を受けた」。菅義偉官房長官は18日の記者会見で「古屋防災相が陣頭指揮をとり、内閣全体としてしっかり取り組んでいる」と述べ、問題はないとの認識を示した。

 民主党の海江田万里代表は17日の会見で、政府調査団の派遣が週末をはさみ、17日になったことを問題視し、「初動が遅れたというそしりは免れない」と批判。18日の衆院災害対策特別委員会の理事懇談会後、野党理事は「現場の作業が最優先だが、後から検証して問題があれば指摘しなければならない」と述べた。

 ■除雪費支援で交付税前倒しへ

 新藤義孝総務相は18日の記者会見で、大雪被害を受けた自治体の除雪費などを支援するため、3月の予定だった特別交付税の支払いを月内にも前倒しする方針を明らかにした。災害救助法が適用された自治体のほか、平年以上の積雪があった自治体が対象となる。特別交付税は災害など予期しなかった支出に充てられる。