最終種目のアイスダンスのフリーを残して金メダルを決めた、ロシアの強さは圧巻だった。全8種目すべてで3位以内、うち5種目で1位。前回バンクーバー五輪では五輪史上初めて金メダルなしに終わったが、地元開催の五輪を前に強化にも相当力が入っていると聞いていた。
実は、不安要素があるとすれば久々の国際大会となるプルシェンコだと思っていた。昨年1月に手術をした腰の状態が気がかりだったが、SPを見て恐れ入った。4回転ジャンプの美しさは健在で観客を一気に引き込んだ。順位も2位と羽生とチャンの間に割って入り、後に続くチームの仲間に勢いと勇気を与えたはずだ。
■リプニツカヤの成長、一番の驚き
もっとも、一番の驚きはユリア・リプニツカヤだ。女子SP、フリーともに出場していずれも自己ベストを更新して1位だった。昨年12月にグランプリファイナル(福岡)で見たときから一段と成長している印象を受けた。ジャンプやスピンの技術の高さは前評判通りだが、表現力の面でも細部にこだわる気持ちが伝わってくる。
女子は浅田選手と金妍児選手の一騎打ちという見方が大勢だったが、この日の演技を見る限り、リプニツカヤは金メダル争いに絡んできそうだ。その他にも女子フリーで自己ベストを更新したグレーシー・ゴールド(米国)、SPで素晴らしい演技をしたカロリナ・コストナー(イタリア)の充実ぶりも目を引く。浅田選手と鈴木選手も、女子SP(19日)まで調整の時間は十分ある。試運転は済ませたとプラスにとらえればいい。
(振付師)
宮本賢二(みやもと・けんじ) 兵庫県出身。アイスダンスで2001年、02年全日本選手権を連覇。06年の引退後は振付師として活躍。バンクーバー五輪に引き続き高橋大輔のショートプログラムを担当した。35歳
ジャンプの転倒もあれば、足が止まりかける局面もあった。羽生結弦選手自身も百パーセント満足できる演技ではなかったかもしれないが、この日ばかりは金メダルという結果が全て。日本のフィギュアスケート界に身を…続き (2/15)
リンクサイドに出場10カ国の応援席が作られた舞台は、国際スケート連盟が2009年から開催している国別対抗戦と同じだった。静寂と緊張が支配するいつものリンクと違い、団体戦ならではの盛り上がる雰囲気が伝…続き (2/10)
ジャンプ豪快、演技も洗練 羽生時代の到来 (2/15)
渡部暁、最強クロカンはあの大クラッシュから (2/13)
全6種のトリプル、浅田真央が挑むもう一つの頂 (2/18)
羽生結弦、空前のフィギュアブームの申し子 (2/17)