【ソチ五輪】町田、丸刈り・基本から作り上げた4回転、成功 個人戦に光 フィギュア
産経新聞 2月10日(月)14時46分
【ソチ=田中充】安定した助走から繰り出した冒頭の4回転ジャンプ。団体戦男子フリーに出場した町田は五輪最初のジャンプを完璧に跳んだ。大西勝敬コーチと1年かけて磨き上げた成果が実った瞬間だった。
「コンパルソリーを学びたい」。2013年の年明け早々、その年の春から指導を受けることになっていた大西コーチに、町田はこう懇願した。競技で使うスピンやステップのエッジワークを駆使し、氷上に円や「8」の字に滑るコンパルソリーには、スケートの基本動作が詰まっている。
当時の町田は12年末の全日本選手権で9位に沈み、ソチ五輪出場が大きく遠のいていた。弱い自分に決別するため、丸刈り頭にし、基本からの出直しを誓った矢先だった。
4回転を跳ぶときの助走から踏み切りまでは、3種類のエッジワークで構成される。大西コーチによると、当時の町田は助走の際の体の使い方がバラバラだったという。町田自身も課題を痛感しての申し出だった。
助走から踏み切りまでを安定させるため、取り組んだのがコンパルソリーで、エッジワークを磨くことだった。毎朝6時すぎから1時間半、何度も円を描き、その後はジャンプの回転はせず、助走と踏み切りを繰り返す作業に時間を費やした。
成果が表れたのは、ソチ出場がかかるシーズンの開幕直前、昨年9月。町田は「腰が止まる感覚がわかってきた」と安定感を口にした。4回転の成功率が高まり、ソチの切符をつかんだ。
この日の演技では、2本目の4回転やほかのジャンプミスで3位に終わったが、個人戦に向けて光明の見える4回転の成功だった。
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