五輪フィギュア:教えて!太田由希奈さん(2)スピンやステップは足元に注目
2014年02月13日
フィギュアスケートは、ジャンプの難度だけでなく演技全体の美しさを楽しみたい。より興味深く見るポイントを、プロスケーターの太田由希奈さん(27)に聞いた。
華麗に回転するスピンや、ダンス的な要素も交えて舞うステップでは、上半身に目が奪われがち。だが、太田さんは「ぜひ足元に注目して」と勧める。
スピンは「同じ場所で回り続ける方がいい。軸になる足の場所が移動していないか見てください」。さらに、同じ足で回っている間でも使うエッジ(スケートの刃)を内側から外側へなどと移す「チェンジエッジ」もしている。「隠れた『おしゃれ』みたいなもの。選手の技術の高さに気づくかも」。選手は回転しながら姿勢も変えていく。昔は一つの姿勢で回り続けてもよかったが、今のルールでは複数の姿勢を組み合わせなければならない。「失敗の可能性も高いジャンプと違い、スピンは練習の成果が出やすい。選手の普段の意識が表れます」
ステップも、ターン(回転)の滑らかさ、エッジの複雑な使い分け、スピードの変化、氷へのタッチの柔らかさ、氷に着いていない側の足のさばきなど、選手がこなす細かい動きを観察したい。「曲との調和や上半身の動きも必要ですが、ステップの基本は足元。より正確なエッジワークが評価されるのです」。演技のムードを盛り上げたい場面で入れる選手が多いステップだが、選手が培ってきた基本技術がうかがえる場面でもある。
優美な演技のため、選手は日ごろから氷上で滑る練習以外にも、さまざまなことに取り組んでいる。「バレエや新体操のレッスンを受ける選手は多いし、ピラティスや筋力トレーニングをすることも」。一つ一つの動きには、どんな取り組みが背景にあるのか。想像してみると選手の頑張りが見えてきそうだ。
音楽や衣装も美しさを演出している。「五輪や世界選手権の開催国にゆかりの作曲家の曲を選んだり、小柄な選手は雄大な音楽に乗って大きく見えるように演じたりもします」。選手が込めた思いをイメージすると、共感しながら楽しめる。【石井朗生】