ローランドが、パフォーマンスに特化したデジタル・ミュージック四種の神器「Roland Aira」を発表
古き良きサウンドを詰め込んで、新しいデザインで帰ってきたよ!
日本の電子楽器メーカーであるローランドが、以前から噂されていた「Roland Aira」をついに発表しました。これはドラムマシンの「TR-8」とベースシンセ「TB-3」、ボコーダー「VT-3」、シンセサイザー「System 1」の4つをまとめたデジタル・ミュージック制作マシン群です。
それぞれが現代の電子音楽に欠かせないローランドの伝説的なマシン「TR-808」や「TB-303」などを基に、現代風にアレンジされてリニューアルしました。新しい操作感が備わった緑と黒のカラーリングの筐体と古き良きサウンドに酔いしれて、今年も物欲MAXになること間違い無し!!!
続きでそれぞれのマシンを詳しく解説しちゃいますよ。
これが本命? 2つの伝説的ドラムマシンが1つになった「TR-8」
1980年に発売され、それ以降の電子音楽シーンに欠かせなかったドラムマシンの名器「TR-808」とその後継機である「TR-909」。音楽制作したことのある人ならその名を聞いた事があるのでは?
ローランドはその2つのドラムマシンのサウンドに出来るだけ近づけるため、単にそれぞれの音のサンプルを使うのではなく、マシンのコンデンサなどの部分から丁寧に設計し直しました。
主なコントローラーは16のパッドとその上の16のフェーダーで構成されており、内蔵されたシーケンサーはリアルタイムで32ステップまで可能で、計11個の楽器から構成された16の異なるキットから音を選べます。さらにそれぞれの楽器には「チューニング」と「ディレイ」のエフェクトを割り当てられます。
さらに今までにはなかった「ディレイ」と「リバーブ」のエフェクトをスネアだけやシーケンスの特定のビートのみに適用できる機能も。それでも物足りない人は外部からエフェクトを持ってきて繋いであげることもできるんです。
また、より直感的でユニークな音作りが出来るような新ツール「Scatter」が搭載されています。これは「チョップ」や「リバース」、「カットアップ」など強さを調節可能な計10のエフェクトで、以前は音楽プロデューサーがポスプロ段階で入れていたようなエフェクトをリアルタイムでコントロールできちゃいます。この機能はTR-8だけでなく、他のAiraマシンにも内蔵されていますよ。
TR-8にはアナログとMIDIのインアウトがあり、デジタルアウトプットは32ビットの96kHzまで対応しています(その他のAiraマシンも同様)。
発売は今年3月で、お値段はなんと500ドル(約5万1000円)。オリジナルの「TR-808」は未だに10万円以上で取引されているのでこれは激安! 買うしかない!
タッチスクリーンを搭載したベースラインシンセ「TB-3」
これまた伝説的なベースラインシンセ「TB-303」のサウンドを内蔵部品レベルから再現した「TB-3」。主な変更点として、従来は物理キーだったのに対してタッチパッドを搭載し、直感的で分かりやすい操作感を実現しています。これにより単にキーを押すだけでなく、タッチパッドをなぞることで「エンベロープ・モジュレーション」と「ディケイ」のエフェクトをコントロールできるんです。
TB-3はオリジナルのTB-303のサウンドに加え、ベースラインとリード、ワープ・アウトに対応した4つのバンクを搭載しています。お値段は300ドル(約3万円)で今年の3月に発売します。
お手軽だけどしっかり者なボコーダー「VT-3」
今やダンスミュージックにとどまらず、いろんな音楽からロボットみたいな声が聞こえてきますよね? 「VT-3」はそんな声を変化させることに特化したボコーダー機能に加え、歌を自動で音楽の音程に合わせる「オート・チューン」、メガフォン機能などなど合計9個の声に対応するパワフルなボコーダーマシンです。
使い方はマイクを繋いで中央のノブをまわして音を選び、左右4つのフェーダーをいじるだけ。またワンプッシュで誰でもロボットボイスになれる「ロボットボタン」も搭載! これでダフト・パンクごっこやりたいなー! お値段は200ドル(約2万円)です。
拡張性高すぎ!外見も超クールなシンセ「System-1」
最後に紹介するシンセ「System-1」の構造は、アナログ回路のような振る舞いに似せているのに、従来のどのシンセもモデルにしておらず、エンジニアチームが「Airaラインのキー付きシンセはこんな感じかな!」というノリで開発した実験の賜物。
System-1はモノフォニックから最大4ボイスのポリフォニックを奏でられる、2オシレーター搭載のシンセサイザー。シンセを触った事のある人ならだれでも取っ付きやすいレイアウトになっています。
最大の特徴として、プリセットの設定データに加えて自分のパソコンから設定データを持って来れる「Plug-Out」オプション。色々可能性が広がりそうです。でも、どう動作するかなどの詳細はまだ明らかになっていません......。
発売は4月か5月を予定しており、お値段は600ドル(約6万1000円)です。
最後に
実際に触ってみて、いや、なによりローランドのスタッフがいじり倒しているのを見た感想は、かなりしっかり作り込まれていて、更に多様性を秘めているハードウェアだということ。でもパソコンの前から離れたくないオタクやアナログ至上主義者向けではないのは確か。
さらにこのハードウェアは楽器を演奏するみたいに、実際に音楽を演奏しないと意味が無いとも感じました。完璧じゃないし純粋にアナログでもない。でもその幅広い使い道と簡単な使い方にはかなり惹かれましたよ。値段においても、Airaシリーズを全てを買っても約1600ドル(約16万3000円)ってのはゲームチェンジャーだと思います。オリジナルのTR-808だけでもそのぐらいしますもの。
全ての情報はまだ出そろっていませんが、なによりコレを使ってどんな音楽が生まれるのかワクワクしますよね!
[Roland AIRA、Photos by Michael Hession]
MARIO AGUILAR(米版/徳永智大)
- ローランド RH-A7 BK オープンエア型モニターヘッドホン
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