都道府県の半分にあたる23県が架空の人物に「知事賞」を授与していた。芸術ビジネスに行政の権威が利用されていた格好だ。

 取材班は昨年11月末、東京・上野の都美術館で開催中の第41回全日展で「知事賞受賞者」の多くが架空の人物であるとの情報を入手し、会場に向かった。

 壁一面に都道府県知事賞の作品が並び、それぞれに受賞者の名札が付けられている。一つ一つ注意深く見ると、同じように見える「静子」の落款が押された作品が3点あった。「芳泉」も2点ある。この日並んでいた知事賞作品のうち16点は、主催者が偽名を使って出展していたことが後の取材で判明した。