2週続きの週末豪雪は、この国の防災をめぐる課題を浮かび上がらせた。いわば日常と化した想定外への備えである。

 雪害に関する近年の課題は、過疎の豪雪地帯で誰が除雪を担うかという問題だった。だが今回は、ふだんあまり降らない地域で突然の豪雪にどう備えるかという問いを突きつけられた。

 とりわけ、除雪の能力が乏しいために道路や交通が寸断されたことは深刻だ。各地で集落が孤立し、車や列車内で何日も足止めされた人が相次いだ。

 高速道路など物流の動脈が断たれ、各地で食料や燃料が底をつく。天候急変で一つ歯車が狂うだけで、暮らしや経済が広範にまひ状態に陥る現代社会のもろさを見せつけた。

 温暖化の影響で全国をならせば雪は減っている。ところが、ゲリラ豪雨同様に、ひとたび降れば局所的に大雪になる傾向が強まっているという。しかも重く湿った雪になりやすい。

 備えの乏しい地域が大雪に襲われることは今後もしばしばあると考えた方がよさそうだ。

 雪国ではない地域で、まれに起きる大雪に備えて多くの除雪車両を各自治体で持つことは、コストを考えると難しい。

 国土交通省は、地方整備局が持つ除雪機械を無償で自治体に貸し出しているという。県単位など広域レベルでそんな準備を充実させ、いざというときに機動的に対応する仕組みを強化できないか。

 豪雪地帯の共助の仕組みも参考になりそうだ。

 事前登録した住民による協力隊や、学校の生徒やPTAによる除雪。さらには県外からのボランティア受け入れといった工夫がある。人手不足をおぎなうための知恵だ。

 都会でも、足りない除雪設備をおぎなう知恵が問われる。災害は雪だけではない。風水害や地震もある。安全に配慮しながら、地域の住民ができる範囲で助け合う仕組みが平時からあれば、早期復旧に役立つだろう。

 自助も課題だ。今回は、事故車や乗り捨てられた車が除雪作業や物流を阻んだ。雪が降る予報なら、チェーンやスコップを車に積む。食料や水の蓄えは地震の備えにもなる。

 荒天の時は不急の外出をやめる意識も徹底したい。災害時もいつも通り暮らしたいという意識が交通の混乱を増幅させ、救援の手を遅らせかねない。

 今回の積雪は予想を大きく超えた。自治体や政府は、想定外の事態に即応できる構えを取れていたか。救援活動が落ち着いた段階で検証すべきだろう。