抜け毛や薄毛の悩みを芸能人が明るく語る男性用シャンプーのコマーシャル(CM)で業績を伸ばしている化粧品会社「アンファー」(東京)が東京国税局の税務調査を受け、2011年3月期までの2年間で約1億5千万円の所得隠しを指摘されたことが分かった。広告宣伝費の一部について、宣伝の実態がなく寄付金にあたると指摘された。重加算税を含む追徴税額は約5千万円で、同社は修正申告した。

 関係者によると、同社は11年3月期までの2年間に、それぞれ約20億円の広告宣伝費を都内の広告会社に支払い、商品のイメージアップを依頼した。広告会社はSMAPの中居正広さんや草彅剛さん、雨上がり決死隊の宮迫博之さんや蛍原徹さんら約20人の芸能人と契約。テレビやネットのCMなどを企画し、放送した。

 これに対し国税局は約20人のうち4人について、テレビとネットのCMともに出演していないと指摘。アンファーが広告会社に支払った広告宣伝費のうち、10年3月期に支出した約4千万円と11年3月期の約1億1千万円について、「CMに結びついておらず宣伝の実態がなく、広告会社を支援するための寄付金にあたる」と判断。広告宣伝費に仮装したとして重加算税の対象とした。

 アンファーは取材に「CMに出ていなくても、芸能人がネットでつぶやくなどすれば口コミの宣伝効果が期待できるのに、理解を得られなかった」と説明。「広告の概念について国税局と見解の相違があったが、指摘に従い全額を納税した。従来以上に税務コンプライアンスを徹底する」としている。