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【STAP細胞、偶然発見】 小保方さん、異分野の目


 STAP細胞の開発を発表する理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子さん=神戸市中央区
 理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの 小保方晴子 (おぼかた・はるこ) ・研究ユニットリーダー(30)が、新たな万能細胞「STAP細胞」を見つけたのは偶然だった。「もしかしたら夢の若返りが実現できるのではないか」と話す大発見。異なる研究分野からのひらめきが、細胞の意外な側面をあぶり出した。

 ▽ガラス管

 小保方さんが初めてSTAP細胞を作ったのは、2008年。米ハーバード大への留学1年目に、別の細胞に変化できる幹細胞を体の細胞の中からより分ける実験をしていた時に見つかった。

 幹細胞は体の細胞より一回り小さい。そこで小保方さんは指導教官のチャールズ・バカンティ教授と相談し、ガラスの細い管に細胞を通せば、大きな細胞は壊れ、幹細胞だけを取り出せるのではないかと考えた。

 実際に管に細胞を通してみると、幹細胞が現れた。だが不思議なことに、通す前の細胞には幹細胞がまったく見当たらない。それどころか、管を通せば通すほど幹細胞が増えていった。

 神経や、皮膚、軟骨、骨髄…。どんな組織の細胞を使っても幹細胞が取れてくる。この幹細胞がSTAP細胞だった。

 ▽細胞の心読む

 ガラス管に通すことは細胞にとってストレスになる。小保方さんは「細胞に強いストレスがかかると、どうにか生き延びようという仕組みが働くのではないか」と考え、思いつくストレスをどんどん細胞に試した。毒素を使って細胞に穴を開ける、栄養を与えずに培養する、熱を加えるなどだ。その中で最も効率が良かったのが弱い酸性の液に浸すという方法だった。

 生物学の常識では、体の細胞が万能細胞に戻ることは普通あり得ない。理研の 笹井芳樹 (ささい・よしき) ・副センター長も「小保方さんの研究の特徴は、普通の人が思わないことでも高い集中力で結果を出すところ。『細胞の心を読む』目を持っていないとできない」と感心する。

 大学時代の恩師 常田聡 (つねだ・さとし) ・早稲田大教授は「彼女は細胞生物学ではなく化学の出身。専門分野が違っていたのが斬新な視点で研究を進める原動力になった」と話す。バカンティ教授も「努力する姿勢とプレゼンがすばらしい」と小保方さんを高く評価していたという。

 ▽自由に研究を

 人間の細胞からもSTAP細胞ができるかは、まだはっきりしないが、期待は大きい。組織や臓器を修復する再生医療に利用できるかもしれないからだ。同じ万能細胞でも人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、がん化の恐れがつきまとう。だがSTAP細胞は遺伝子を操作しないため安全性が高い可能性がある。

 国立成育医療研究センター研究所幹細胞・生殖学研究室の 阿久津英憲 (あくつ・ひでのり) 室長は「人でSTAP細胞が作れない理由はない」と指摘する。理研とハーバード大は人での実験を始めたことを明らかにしており、STAP細胞研究は世界的な競争になりそうだ。

 一方で、小保方さんが臨床応用に専念することを懸念する声もある。理研の 西川伸一 (にしかわ・しんいち) 特別顧問は自身が理事長を務めるNPO法人のホームページで「彼女のような人に自由にやってもらうことこそ国のためになる。小保方さんもぜひ国民の期待を手玉に取りながら、気の向くままに研究をしてほしい」とのコメントを発表した。

(共同通信)

2014/02/02 13:08

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コメント

彼女の論文の実験画像に不自然な点が多数あるとの指摘があり、理研が調査を始めました。

投稿者 STAP : 2014年02月16日 09:42


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