2月9日、ロシアが団体戦で金メダルを獲得したが、その前日に採点にともなう不穏な噂が報道された。
2月8日、フランスのスポーツ新聞レキップ紙が、「米国とロシアのジャッジが、フィギュアスケートの裏取引をしている」という内容の記事を掲載。それによると、ロシアは米国のアイスダンサー、デイビス&ホワイトの金メダル獲得に協力し、その見返りとして米国はロシアの団体戦金メダルと、ロシアのペア、ヴォロサジャル&トランコフの金メダル獲得に協力するという密約を交わしたとされている。情報は、あるロシア人コーチからレキップ紙の記者にもたらされたものだという。
ISUは「根拠なし」、USFSAも全面否定。
国際スケート連盟(ISU)のプレス担当者はすぐさま、「証拠も裏付けもないことで、ISUは調査の必要はなしと判断した」と声明を出した。米国フィギュアスケート連盟(USFSA)も「事実無根」ときっぱり否定した。
団体戦では選手たちの演技内容を見る限り、ロシアの優勝に納得できない理由は見当たらなかった。2月11日に優勝したペアのヴォロサジャル&トランコフも、五輪王者に相応しい滑りであったことは、誰も異存ないだろう。
そもそも彼らもデイビス&ホワイトも、ともに現世界チャンピオンで、金メダル最優秀候補だった。特にデイビス&ホワイトは、今シーズン圧倒的な強さを誇り、不敗を保ってきた。
「なぜ米国が危険をおかしてまで、デイビス&ホワイトのために裏取引をしなくてはならないのか。彼らはどのみち、間違いなく勝つでしょう」とロシアのスポルトエクスプレス紙の記者は口にした。カナダのベテラン記者は、「不器用な米国がそのような取引をするほど、政治的に長けているとはとても信じられない」と感想をもらす。このようにプレス関係者の間でのレキップ紙の記事に対する意見は、概ね否定的だった。
「関係者の話は確かなもの」と執筆記者。
だが執筆したセリーヌ・ノニは、私にこう語った。
「情報源が匿名だから、皆これは単なる噂だと思っている。でも私はロステルコム杯の時にこの話を耳にして、欧州選手権では別のロシア関係者から再び耳にした。根拠のない噂ではありません」
ノ二は1992年アルベールビル五輪からフィギュアスケートをレポートしてきたベテラン記者で、過去にも何度か大きなスクープ報道をしている。そのひとつは、バンクーバー五輪直前に米国の古株ジャッジ、ジョセフ・インマンが五輪に派遣されるジャッジも含む知り合いのスケート関係者、数十人にEメールを送りつけたというものだった。その内容は「プルシェンコ本人でさえ入っていないというトランジションに、なぜあんな高い評価がつくのか」というものであったことを、インマン本人も後に認めている。
このメールが判定に直接的な影響を与えたのかどうかは、はっきりと断定できない。個人的にはインマンのEメールがなければ、バンクーバーでプルシェンコは2個目の五輪金メダルを獲得していただろうと思う。だが彼のメールはルール違反とは見なされず、ISU の内部で問題視されなかった。
<次ページへ続く>
関連アスリート・チーム
フィギュアスケート、氷上の華 バックナンバー
- 19歳、金メダルは新たなスタート! 羽生結弦、日本男子初の五輪王者。 2014年2月15日
- 史上初団体戦の金メダルはロシアへ。 続いてカナダ、米国……日本は5位に。 2014年2月10日
- 五輪史上初、フィギュア団体戦開始! 表彰台への鍵は羽生と浅田のリード。 2014年2月6日
その他スポーツ ニュース
米国組、歴代最高で初V フィギュアスケート・17日
2014年2月18日(火)3時58分 - 共同通信
フィギュアスケートのアイスダンスはショートダンス(SD)首位のメリル・デービス、チャーリー・ホワイト組がフリーでもトップとなり、自身の世界歴代最高を更新する合計195・52点で米国勢として五輪初制覇…記事全文
その他スポーツ コラム
-
[スポーツ・インテリジェンス原論]
テレビならではの五輪の楽しみ方。「言葉力」で選ぶ、解説のMVPは誰だ。 -
[ソチ五輪EXPRESS]
苦しい戦いのスピードスケート陣。パシュートに勝算がある理由とは? -
[オリンピックへの道]
技術勝負なら日本は、葛西は強い!ルール変更が生んだ“平等”な戦場。