中国を東アジアの地域覇権国として認め、米軍の段階的撤兵を!―米有力教授が米中「新型大国関係」で提言

配信日時:2014年2月17日 7時47分
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レイン米大学教授は「パックス・アメリカーナの終焉後に来るべき世界像」との論文を、「外交」最新号に寄稿。中国と戦争しないために、中国を東アジアの地域覇権国として認めるよう提言している。写真はバイデン米副大統領と習中国国家主席との会談(13年12月)。
2014年2月、米テキサスA&M大学のクリストファー・レイン教授は「パックス・アメリカーナの終焉後に来るべき世界像」と題した論文を、隔月刊誌「外交」最新号に寄稿した。衰退しつつある覇権国家・米国は今後、(第一次大戦の起きた)1914年以前の英国と似たような立場に置かれることになると指摘。現在中国から挑戦を受けている米国は、戦争を選んだ英国の誤りを繰り返すべきでなく、中国と戦争しないために、中国を東アジアの地域覇権国として認めるよう提言している。

同論文の主旨は、(1)当時の覇権国家、英国は台頭しつつあったドイツの挑戦に直面、ドイツの挑戦を許さず、英国の国際秩序を維持しようとして戦争になった。いま中国から挑戦を受けている米国は、戦争を選んだ英国の誤りを繰り返すべきでない、(2)中国と戦争しないために、中国を東アジアの地域覇権国として認める。アジアに展開する米軍を段階的に撤兵する。朝鮮半島、台湾、尖閣諸島で紛争が起きても軍事的に関与しない―というもの。

「オフショア・バランシング」戦略と名付けられたこの戦略は、米軍のアジアからの段階的撤退を意味し、米国に安全保障を依存する日本にとって衝撃的な内容。米国ではイラク、アフガン戦争で疲弊し、厭戦気分が漂っている。膨大な財政赤字と貿易赤字にあえぎ、米国債保有や対中輸出などで中国への依存度が高まっている米国で支持を得つつあるという。

リアリストとして著名な政治学者、レイン氏は、米国の世界政策を論じた著書「幻想の平和」の中で、「覇権」という大戦略のリスクとコストが増大しており、自らの地域の外にまで覇権を維持しようとする米国は、このままでは過去の帝国と同じように手を広げ過ぎて国力が続かなくなり没落する、と警告。「アジア最大で潜在的には最も強力な中国に対して、過剰に敵対的な政策の実行を避ける」よう提言している。

これらの考え方は、中国国家主席・習近平が昨年六月の米中首脳会談で唱えた「新しい大国」論に通じる。米国と中国は衝突を避け、双方の核心的利益を尊重し、共存共栄の関係を構築しようというもので、アジア太平洋地域を米中の2大国で共同管理しようという構想である。

昨年11月、オバマ大統領の側近のスーザン・ライス大統領補佐官は、対中外交について「新しい大国関係を機能させ、利害が一致する問題では協力関係を深めていく」と言明、「G2論」を容認する考えを示唆している。3月24日からオランダで開かれる核安全保障サミットで、オバマ大統領と習近平主席が会談することになっており、この会談で新型大国論についても協議される見込みという。(取材・編集/SK)

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