ポルトガルの首都リスボンにあるリスボン国際空港では、涙ながらの別れがありふれた光景になった。3年に及ぶ厳しい緊縮財政と深刻な景気後退が国外脱出の引き金となり、1日に推定200人の新卒者などが国を離れている。
一方、すぐ近くにある空港貨物ターミナルやショッピングモールは活気にあふれ、780億ユーロの国際支援の一環としてポルトガルが行った痛みを伴う経済調整となじまない側面を映し出している。つまり、過去最高水準の輸出増加と観光客により、同国はユーロ圏復活の意外な主役に躍り出たのだ。
ポルトガルは2013年10~12月期の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比で1.6%増とドイツを含む全ユーロ圏諸国をしのぎ、前の期比では0.5%増と首位のオランダに続き、0.1%増にとどまるとしたエコノミストの事前予想を上回った。
■輸出がけん引
ベレンバーグ銀行のシニアエコノミスト、クリスチャン・シュルツ氏はポルトガルを「ユーロ圏の新たな期待の星」と評価。欧州連合(EU)の債務危機は「変革を補佐」する役割を果たし、ポルトガルなど周辺国は「思い切った構造改革」と輸出競争力強化を余儀なくされたと指摘した。
国内市場への過度の依存はポルトガルの構造的な脆弱性の一つとみられてきたが、今は輸出が経済の立て直しをけん引している。
13年12月までの4年間で輸出は24.2%増える一方、輸入は5.1%減り、同国は20年ぶりの経常収支黒字に転じた。GDPに占める輸出の割合は08年の28%から41%に上昇した。
例えば、英国王室やマドンナなどの著名人を上得意客に持つ同国の製靴業界はリスボン空港経由で昨年、前年比8%増で過去最高となる17億ユーロ超を輸出した。
ポルトガルの製靴業界はかつて低賃金と低価格で競っていたが、デザインや技術、ブランドに投資することで変容を遂げたのだ。同国の靴店エルサルの創業者であるジョージ・コレイア氏は、国際的な評価や卸売価格の点でポルトガル製の靴はイタリア製に次ぐ高い地位にあると話す。
他の業界も同様にバリューチェーンを加速している。これはポルトガルに対し長く求められてきた戦略だが、11年5月にEUと国際通貨基金(IMF)と合意した3年に及ぶ厳しい支援プログラムの下で、ようやく弾みがついた。
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