「ビットコイン」と呼ばれるインターネット上の仮想通貨を無料で発行する専用ソフトを、他人のパソコンを遠隔操作してダウンロードさせるサイバー攻撃が昨年1月以降、日本で6千件以上も発生していることが16日、分かった。世界で日本の確認件数が最も多いことも判明。不正に発行されたビットコインは攻撃者側に送られる仕組みで、薬物の違法取引やマネーロンダリング(資金洗浄)などに悪用される危険性も指摘されている。
ウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」を開発・販売するソフト開発会社「トレンドマイクロ」(東京)が確認した。サイバー攻撃は、他人のパソコンを遠隔操作して専用ソフトをダウンロードして起動、発行されたビットコインを攻撃者側に送る仕組み。トレンド社は昨年1月から今月にかけて日本で6120件を確認した。昨年9〜11月でみると日本で最多の約3千件が見つかり、世界中の確認件数の約24%を占め、2位の米国(約21%)を上回った。
中央銀行のような発行主体や管理者のないビットコインの取得は、専門取引所で口座を開設して円やドルなど現実通貨と交換するほか、ネット上で専用ソフトをダウンロードすると発行を受けることができる。専用ソフトでの発行は現実通貨との交換が必要なく無料だが、過剰な流通を防ぐため、実際には専用ソフトでも発行できないことも多い。サイバー攻撃者は不特定多数のパソコンを使って無料のビットコインを集めるのが目的とみられる。
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