GDP:実質成長率1.0%増 アベノミクス効果に疑問符
毎日新聞 2014年02月17日 10時50分(最終更新 02月17日 11時40分)
内閣府が17日発表した2013年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期(7〜9月)比0.3%増、1年続いた場合の年率換算で1.0%増となり、4四半期連続のプラス成長となった。
2013年10〜12月期の国内総生産(GDP)実質成長率が前期並みの伸びにとどまったのは、景気回復を支えてきた公共投資が大きく減退する中で、企業の設備投資が民間予測ほど回復しなかったためだ。4月の消費税増税を前にした駆け込み需要と冬のボーナスアップで個人消費は伸びたが、伸び率は4〜6月期の前期比0.6%増に届かず、アベノミクスの実体経済への波及効果に疑問符のつく内容となった。
13年の実質GDPは1〜3月期、4〜6月期にそれぞれ前期比で年率4〜5%増の高い成長率を見せていたが、円安株高などアベノミクスへの期待感が徐々にしぼむ中、物価の上昇のみが先行し、賃金の上昇が物価の上昇率に追いつかず、年後半には1%前後の低成長が続いた。
業績の改善にともない企業マインドが持ち直し、冬のボーナスを増額する企業が相次いだ。しかし、個人消費の伸びは小幅にとどまっており、今年の春闘でベースアップ(ベア)を含む本格的な賃金上昇にどれだけつなげられるかが焦点となる。また、設備投資は出遅れていた製造業で積極的になり、中小企業にも新たな投資を増やす動きが出始めている。
安倍政権は、賃金上昇が消費を喚起して企業業績を押し上げ、それが設備投資やさらなる賃金上昇につながる「経済の好循環」を目指している。4月以降は、消費増税前の駆け込み需要の反動でマイナス成長が確実視されている。その後に速やかにプラス成長を取り戻し「好循環」を実現できるかどうかは、出遅れている民需の回復スピードにかかっており、成長戦略を含めたアベノミクスの真価が問われる。【丸山進】