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今季はリーグ戦に加え、ACLも戦うことになった川崎フロンターレ・風間八宏監督。同組には増田誓志の所属する蔚山現代、小野伸二のいるウェスタン・シドニー・ワンダラーズなど強豪が揃う。
photograph by Keiji Ishikawa
フットボール“新語録”

「サイドに開いた選手は捨てろ」!?
風間八宏監督が唱える守備の新常識。

木崎伸也 = 文

text by Shinya Kizaki

photograph by Keiji Ishikawa

「それほど危険でない相手がサイドに開いたら、
『守備において、捨てていい選手が1人増えた』と考えます」

風間八宏  (川崎フロンターレ監督)

 以前からひとつ気になっていた「戦術の常識」がある。

 攻撃の際「サイドアタッカーがワイドに張り出して、相手のDFラインを横に広げる」というセオリーだ。

 一般的に、相手が守備を整えた“待ち伏せ状態”になると、簡単には崩せなくなる。それを打開するために利用されるのが、上述のやり方だ。攻撃側のサイドアタッカーが外に張り出した位置にポジションを取ると、相手のサイドバックの注意を引きつけられる。すると相手のDFラインは横方向に引き延ばされ、守備ブロックの隙間が広がり、そこに入り込む余地が生まれる……という考え方だ。

 日本代表のザッケローニ監督は、この理論の実践者である。

 サイドハーフの香川真司と岡崎慎司に対して、攻撃のスタート時にそれぞれ左右に広がることを求めている。チームの攻撃に幅を持たせるためだ。ただし、香川と岡崎はドリブルで縦に勝負するタイプではないため、流れの中で中央に入ったままになり、ザッケローニ監督がベンチから声を張り上げて注意する……というのがお馴染みのシーンとなっている。

クライフが提唱したセオリーが、形骸化している?

 ACミランの新監督に就任したセードルフも、サイドアタッカーがワイドに張り出すことを求める指揮官だ。本田圭佑はカリアリ戦とトリノ戦で右MFに起用されたとき、監督からの要求を意識してプレーしていた。

「守備で狭く、攻撃は広く」。ヨハン・クライフ(もしくはオランダサッカーの指導者たち)が提唱したこのセオリーは、もはや戦術のイロハのイだ。

 ただし、理論はシンプルであるほど理解しやすいが、伝わるうちに元々の本質が忘れられ、形骸化してしまうことがよくある。「攻撃は広く」に関しても、サッカー自体の進化もあって、誤解を招きかねない“過去の常識”になりつつあるのではないだろうか。

<次ページへ続く>

【次ページ】 クロップ監督は、MFに近い距離感を求める。

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