雪の重みで板金工場の屋根の一部が崩落していた=熊谷市で
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秩父と熊谷で観測史上最多の積雪量を記録した県内では、十六日も雪が原因とみられる事故が相次いだ。県によると、同日正午までの死者は二人、けが人は二百十四人に上った。道路の通行止めの影響で、午後一時現在で秩父市と小鹿野町の計約二百二十世帯が孤立状態となり、秩父市の三カ所では車やバスなど計二十三台が立ち往生している。 (増田紗苗、中里宏、花井勝規)
県によると、十五日に深谷市の女性(70)が屋根から落ちてきた雪の下敷きになって死亡したことが新たに判明。同市では駐車場の屋根が倒壊し女児(8つ)が背中にけがを負う事故もあった。
秩父地域の国道や県道は路面凍結や雪崩による通行止めが続いた。秩父市によると、十六日午後一時現在で同市の浦山、三峰、中津川、太田部の五地区の約百五十世帯、約二百七十人が孤立。県によると、小鹿野町の両神薄近くでは約七十世帯が孤立している。
県によると、十六日正午現在で、秩父市大滝の国道140号でバスや乗用車など計十五台、三十人が立ち往生したままになっている。同市中津川の県道では乗用車やタンクローリーなど計八台、十七人が立ち往生し、近くのトンネル二カ所に避難している。
県は十六日朝、このうち二カ所に県防災ヘリで食料や水を投下したが、強風の影響で一カ所のトンネルには投下できなかった。県は除雪を進め、県警と協力してヘリで救出する方針という。
雪の重みで建物の屋根が倒壊したのが原因とみられる火災も相次いだ。秩父市大野原の木工業宇田三郎さん(79)方の作業場では十五日朝にトタン屋根が崩壊して間もなく出火、同作業場と隣接する木造二階建て住宅を全焼した。同市みどりが丘でも倉庫の屋根が雪の重みで破損し、水銀灯の配線がショートしたのが原因とみられる火事が発生した。
住宅にも被害が出た。三芳町では一棟が半壊、さいたま、久喜、幸手、川越の各市で計五棟が一部損壊した。十六日正午現在で、秩父市や飯能市など二市五町一村の約千九百世帯が停電している。
小川町では東武東上線の小川町−寄居間で運転見合わせが続いたため、帰宅困難者への対応として、十五日午後十時に町民会館「リリックおがわ」に避難所を開設。最大で男女六人を受け入れた。
農業被害も相次いだ。秩父市や深谷市など二十二市十五町一村では、イチゴやホウレンソウなどの農業用パイプハウスが損壊。深谷市の担当者は「市内の農業用ハウスは壊滅状態だ」と話した。
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