プロ野球の巨人が新人選手に対し、フェイスブックやツイッターなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用を禁止したことが話題になっている。SNSの普及とともに情報流出や“炎上”騒動などが多発するなか、社員のSNS利用を規制する企業は少なくない。社員に危険性を正しく認識させるべく企業は対処すべきだという危機管理コンサルタントの田中辰巳氏と、SNS禁止に疑問を呈するITジャーナリストの宮脇睦氏に話を聞いた。
――巨人軍のSNS禁止をどうみる
「書面による契約で在籍中のSNSを禁止するのはわかるが、口頭で禁止を伝えるだけでは意味がない。禁止してもやる人間はやる。今はささいな失言でも責められる時代で、例えば、社会人として差別はいけないといった教育のほうが重要だ。単純にツイッターを禁止したから炎上の心配がない、というのは甘い。選手の発言を周辺の人間がツイッターで発信するのは止めようがなく、夢を売るプロ選手としては、公の場では何を言ってはダメかという教育がまず求められる」
――禁止の理由は野球などで自己アピールを、ということのようだが
「プロ選手を自営業者とみるなら、自己宣伝の場は必要だ。パンチ佐藤氏のように発言が面白くて、引退後もタレントとして活躍できる選手もいる。今後はSNS発のタレント選手も出てくるはず。その発信の場を否定するのは選手の営業努力を否定することになり、何らかの保障が必要ではないか。仮定の話だが、長嶋茂雄氏がいま現役選手だったらツイッターをやって、かなり読まれたのではないか。SNSを使いこなすかどうかも個性の一つで、それも踏まえてのプロ選手だろう」
――社員のSNSを認めたとして、企業はその炎上を予防できるのか
「『こういうことを書いてはいけない』という小学生レベルのマニュアルを渡して契約させ、同時に社員のSNSを監視すると宣言することで、かなりの抑止力になる。実際に企業では採用面接の段階で志望者のSNSをチェックしているといわれている。それは公開されている情報なのだから」
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