元財務官僚発言のウラに財務省の思惑?
為替の円安が進んでいるのに輸出が伸びない、貿易収支が改善しない、などと指摘する論評がある。元財務官の渡辺博史・国際協力銀行(JBIC)総裁は14日、日本が昨年12月まで3カ月連続で経常赤字になったことについて「2月まで赤字が続くようだと経常黒字(国)という(日本の)根源的な強さがひっくり返るかもしれない」と都内の講演で語った。
同氏は、海外できちんとした教育を受けたにもかかわらず、経常黒字が国の強さであるという経済学的にはトンデモなことを言うとは、組織として財務省からの指示でもあったのかと邪推してしまう。
なにしろ、安倍政権になってから、官僚の天下り復活攻勢は凄い。昨年6月に杉山秀二氏(元経済産業次官、65)が商工中央金庫社長に、10月に細川興一氏(元財務次官、66)が日本政策金融公庫総裁に、12月に渡辺氏(元財務官、64)が国際協力銀行総裁に就任した。最後の渡辺氏は、国際協力銀行総裁ポストを官僚出身者にふさわしいと天下り推進を公言した。
同氏の教育レベルは高いが、その知見を組織のために使うタイプではないだろうか。官僚に成り立てのころは、そんな経験は誰にもあるだろう。何を隠そう筆者にもあった。
筆者は1980年に入省したが、その直後、大蔵省は日米摩擦との関係でISバランス論に悩まされていた。そこでISバランス論に対抗する考え方をひねり出せないかと、省内若手に声がかかっていた。
ISバランス論とは、経常収支は貯蓄投資バランスに等しいことから、経常収支を縮小するためには国内投資、なかんずく「政府投資を増やすべし」が導き出される考え方だ。米国はこの点を指摘し、日本に公共投資増を求めていた。
まず、経常収支は貯蓄投資バランスに等しいのは否定できない。国民所得=消費+投資+経常収支と定義されるが、(国民所得-消費)-投資=経常収支、つまり貯蓄(=国民所得-消費)-投資=経常収支となるからだ。問題にできるのは、両者の因果関係である。
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