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【芸能・社会】

染五郎 夢の初挑戦「伊達の十役」 猿之助の代表作を5月明治座で

2014年2月17日 紙面から

 人気歌舞伎俳優の市川染五郎(41)が5月の東京・明治座公演で先代市川猿之助(74=現猿翁)の代表作の一つ「慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ)」に初挑戦する。通称「伊達の十役」は、二枚目、敵役、さばき役、乳母、腰元など歌舞伎を代表する十の役を、一人の役者がほぼ出ずっぱりで50回近い早替わりで演じてみせる娯楽大作。次世代のエースが、念願かなってのチャレンジでどう客席をわかすか、大きな話題になりそうだ。

 古典や家の芸に取り組みながら新作にも意欲的な染五郎にとって、「伊達の十役」は、長年の夢だった。「いろいろ調べたりすると、澤瀉屋(おもだかや)のおじさまがすでにおやりになっていることがよくあって、その中でもこの作品は、復活ものの最高傑作」と染五郎。実際の舞台は見たことはないが、テレビの特集番組を繰り返し見て、あこがれを募らせてきた。

 猿翁に会うたびに話題にも上ってきたが、昨年10月に国立劇場公演「春興鏡獅子」で、孫の市川団子(香川照之=市川中車の長男)と共演した際、けいこ場を訪れた猿翁から直接勧められ、初めて上演が視野に入った。まもなく製作サイドから話が舞い込み、染五郎は「驚きで頭の中が真っ白になり、その事実を実感してくると、今度はうれしくてうれしくて涙を堪えることに懸命でした」。

 澤瀉屋の芸に本格的に取り組むのは、今回が初めて。「十の役を早替わりや宙乗りで演じるという趣向に陥りがちですが、話がこんがらがることもなく、伊達騒動の先代萩の世界がとても面白く描かれていて、お芝居として面白い」と作品の魅力を指摘。単独上演されることが多い政岡が活躍する「御殿」も含まれており、女形の大役政岡を初めて演じるだけでも大きなチャレンジだ。「作品作りのお手本として、すべてを学びたい。(伊達の十役が)初演された明治座で上演できるのも因縁を感じます」と話した。

 今月は歌舞伎座で昼夜に花形の中心として通し狂言に出演中。3月はドラマ撮影、4月には座頭として「こんぴら歌舞伎」に出演と多忙を極める。染五郎は、「おじさまの歌舞伎を創造する神髄を体現できるよう顔を紅潮させ、大汗をかいて走り回ります」との意気込みだ。

 公演は、5月2〜26日夜の部。昼の部は「釣女」などに出演する。

 ◆「慙紅葉汗顔見勢」(伊達の十役) 伊達騒動を下敷きに善悪入り乱れて展開される勧善懲悪の物語。幕開きに、主演俳優が足利頼兼、高尾太夫ら自分がふんする十の役をパネルを使って説明するところから始まる。1815(文化12)年に七代目市川団十郎が評判をとったと伝えられるが、台本は残っておらず、猿之助(現猿翁)がわずかな史料をもとに79(昭和54)年4月に明治座で復活上演。以後、人気を博し、99(平成11)年7月に「一世一代」と銘打った歌舞伎座公演の千秋楽には、観客が総立ちとなり、歴史的なカーテンコールとなった。今回は、82(昭和57)年以来3度目の明治座公演。10、12年には、市川海老蔵が新橋演舞場で上演した。

 

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