(2014年2月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
タイ政府は2月、2度にわたってコメを大量売却するが・・・〔AFPBB News〕
窮地に立たされたタイ政府が、国に大きな経済的、政治的ダメージを与えている助成制度の下で農家に未払いになっている40億ドル近い借りを清算するために膨大な量のコメを売ろうとしている。
国際相場が下落するなかで2月第3週、第4週にほぼ100万トンのコメを売却する政府計画は、2011年暮れに導入されてから年間100億ドル以上のコストがかかり、代金を払ってもらえない農家からの抗議を引き起こしたコメ買い取り政策の代償をいっそう膨らませる恐れがある。
タイ政府が直面するジレンマ
インラック・チナワット首相が率いるタイ政権はコメ売却で損を出したくはないが、反政府運動に加わっている農家に未払いの代金を支払う必要がある。タイ開発研究所(TDRI)の栄誉フェロー、ニポン・ポアポンサクルン氏は言う。「これはすごいジレンマだ。政府はコメを売らなければならない。さもないと農家に払うカネがなく、票を失うことになるからだ」
タイ商務省によると、昨年11月以降、農家が政府に売ったコメの代金1155億バーツ(35億ドル)が未払いになっており、このほかにも、小額だが公表されていない9月分の未払いがあるという。
閣僚らは、自分たちには買い取り制度を2月以降まで延長する権限がないと話している。というのも、現政権は混乱をきたした2月2日の総選挙の結果が出るまでの権限が限られた選挙管理内閣であり、選挙の結果が完全に出るまでには何カ月もかかる可能性があるからだ。
今月、商務省の外にバリケードが張られ、抗議行動が繰り広げられるようになると、インラック政権は超過応募になった2月第3週の40万トンのコメ売却入札に続き、第4週にも50万トンのコメを売却すると発表した。
だが、2度のコメ売却を合算しても、指標となるタイ米(砕米5%)の現在の国際市場価格では4億ドル程度の資金しか得られない。これは農家への未払い金の1割そこそこだ。
コメ買い取り制度は、タイ北部のコメの産地からの支持もあって2011年の総選挙で地滑り的勝利を収めた後にインラック首相が導入したもので、その総コストについては様々な憶測が飛び交っている。