快挙達成!1年前では想像つかなかった羽生結弦の金メダル
DAILY NOBORDER 2月16日(日)22時13分配信
見事やってくれた!もちろん羽生結弦が本命ではあったが、いざこうして日本人男子が五輪の頂点に立つ姿を目のあたりにすると、やはり感慨深いものがある。前回のバンクーバー五輪で高橋大輔が銅メダルを獲得。日本人男子で初めて表彰台に立ってくれたことで、「次はその上。金メダルも狙える時代が来たぞ」と思ったのは事実だが、まさか、次の大会でこんなにも早く、この日が来るとは思わなかった、といった気持ちもある。私たち日本の男子フィギュアに携わった、すべての人の夢をかなえてくれた羽生には、心からの賛辞と拍手を送りたい。
羽生の最大の勝因は「スタミナ」だったと思う。フリーでは、2度のトリプル・アクセルを含めて、3回転以上のジャンプを7度も、プログラムの後半に集中して組み込んだ。無謀と言ってもいい、ほかの誰にも真似できない過酷なプログラム。後半のジャンプは基礎点が1.1倍になる現在のルールは、選手に過酷な要求をしている。言わば「ハイリスク・ハイリターン」。そのなかで羽生は「ハイリスク」は物ともせずに克服し、「ハイリターン」のほうだけを手に入れることに成功した。コーチのブライアン・オーサーをはじめとする羽生陣営の作戦勝ちだったとも言える。やはりブライアン・オーサーが指導するハビエル・フェルナンデス(スペイン)のプログラム構成を見ても、その傾向は見てとれた。だが、その作戦を遂行するためには、相当な「スタミナ」が必要とされる。
世界選手権に初出場した2年前、羽生はいきなり3位になって脚光を浴びたが、そのときのフリーの後半は‘疲労困憊’。正直に言えば、ほかの選手の出来の悪さも手伝っての世界3位で、少なくとも「スタミナ」を感じさせる選手ではなかった。昨シーズンの終盤も、体調不良や左ヒザの故障に苦しんだ。おそらく本人も期するところがあったのだろう。今シーズンに入ってからの羽生が見せてきた演技後半の爆発力は、1年前とはまるで別人だった。その裏側には、それを支える相当なトレーニングがあったはず。想像を絶するような努力の積み重ねがなければ、あれほどのプログラムには挑戦できない。さらには去年12月のGPファイナルでパトリック・チャン(カナダ)に勝った精神的な優位もあり、SP(ショート・プログラム)の段階から自信に満ち溢れていた。ひとりの選手がわずかな期間に、これほど飛躍的な成長を遂げるものなのかと、驚かされるばかりだ。
佐野稔
最終更新:2月16日(日)22時13分
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