【コラム】私が早すぎるゲーム発表を嫌う理由
時折、ゲームが正式に発表されてから発売まで、何年も待たされることがある。開発難航による延期や、開発開始前の発表など理由は様々だが、このような振る舞いは信頼を損ねるだけだとするGame Informerのコラムをお届けする。
人間誰しも、未来に思いを馳せてワクワクするのが好きだ。大好きな趣味の未来は明るい、と安心したいのである。忍耐力が足りないと言われるかもしれないが、私は発売まで1年程度になるまで、そのゲームのことを知らない方が嬉しい。パブリッシャーが望む宣伝期間を考えると現実的ではないかもしれないが、それよりも前だと、あまりに不確定要素が多すぎるように感じられるのだ。実現しない可能性が高すぎる。存在を知りながら一切目にすることができない、もしくはいつになったらお目にかかれるのかと気を揉み続けるのは最悪だ。
これまで何度も目にしてきたことだ。無期限に延期される話題作の数々。『Beyond Good & Evil 2』が良い例だ。1作目は現在でも愛されているのだから、UbisoftのデザイナーMichel Ancel氏がフランスの雑誌にこのカルト・クラシックの続編がプリプロ段階にあると漏らした時、ファンが興奮したのも当然だろう。当時、Ubisoftはプロジェクトにゴーサインすら出していなかった。ありがたいことに、Ubisoftはプロジェクトの存在を認めたが、発売時期未定ながら開発が進められているということ以外、『Beyond Good & Evil 2』の情報は2008年以降殆ど出てきていない。
そして3年後、『Beyond Good & Evil 2』は予定されていたXbox 360とPS3での発売を取り止め、次世代機に移行することが発表された。昨年のE3では何かしら見れるものと思っていたのだが、結局何もなく、ガッカリさせられる結果に終わった。次回作を作ることができてAncel氏はさぞかしワクワクしているだろうが、彼とUbisoftには、具体的な発売時期が決まるまで秘密にしておいて欲しかった。
現在、我々は既に6年間待たされていることになる。あのゲームへの私の興奮はすっかり錆付いてしまったし、長すぎて不安になるべきかどうかも分からない。私としても、デベロッパーには可能な限り最高の製品を仕上げて欲しいし、時間を掛ける必要があるならそうして欲しいが、『Beyond Good & Evil 2』の延期がここまで長引くと、我慢にも限界がある。例えば『Watch Dogs』だ。確かに元々はPS4ロンチとされていたものの、1年以下の延期ならば私は問題ない。
ゲーム開発に不測の事態は付き物だが、企画段階のゲームは公にすべきではない。そこに関してスクエア・エニックスは悪名高い。複数の『Final Fantasy』が控えていると証明するため、スクエア・エニックスは『Final Fantasy Versus XIII』を2006年E3で発表した。それ以来情報は殆ど公開されず、キャンセルされたという噂まで浮上。そして7年が経過してようやく、スクエア・エニックスは昨年のE3で『Final Fantasy Versus XIII』を『Final Fantasy XV』へと改題することを明らかにした。これもまた次世代機へと移行したゲームだ。スクエア・エニックスが発売時期や発売日を設定しても、信用して良いものかどうか自信がない。更なる延期でぬか喜びに終わるのはもう御免だからだ。
『The Last Guardian』も同様の経緯を辿っている。2009年のE3で発表されて以来、私はこのTeam Ico最新作をドキドキしながら待ち続けている。昨年のTGSにて、SCEワールドワイド・スタジオ代表吉田 修平氏は、『The Last Guardian』の開発が継続中であることを認め、改めて紹介する機会を窺っているとした。当然私は忘れていないが、再紹介する必要があるほど長引いているという事実は問題だろう。また長く待たされるために再紹介されるのではないか、という疑問がどうしても頭をかすめてしまう。
ゲーム・ショウや投資家がパブリッシャーに新作を見せるようプレッシャーをかけるのは知っているが、私としては、達成可能な発売時期が実際に見えてくるまで、そのゲームについては耳にしたくない。開発中のゲームに関する情報を興奮しながらシェアしてくれるデベロッパーには感謝したいが、捕らぬ狸の皮算はすべきではないだろう。プロダクションが開始されていないなら、私はそのゲームについて知りたくはない。
創作過程において事態は常に変化するし、予想外の障害が立ちはだかることもある。パブリッシャーやデベロッパーが発売時期を決めるのに躊躇するなら、そのゲームを目にしない方がマシだ。開発がより成熟した状態で発表してもらいたい。パブリッシャーが早い段階で発表したいというなら、新たな情報やアップデートを定期的に供給すべき。あまりに早く発表してしまうと、興奮がしぼみかねないからだ。毎年のように「ニュースは何もないが、まだ開発中だ」という変わり映えしない発言をされると、誰もがウンザリしてしまう。
[ソース: Game Informer]