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日米開戦、民事訴訟ならルーズベルトは有罪(その3)

本書の第三部は、ハミルトン・フィッシュという政治家について書いている。フィッシュは、アメリカは他国の紛争に介入すべきでないとする孤立主義者のリーダー的存在だったが、真珠湾攻撃で態度を一変させ、ルーズベルトの宣戦布告を容認した。
 
 しかし、戦後は再びルーズベルトを批判する立場をとる。ルーズベルトの対日外交の詳細が明らかになり、特に「ハル・ノート」の存在が政権中枢以外知らされていなかったことに、「アメリカ議会を欺いた」と激怒した。
 
 日本は、「ハル・ノート」で最終的に開戦を決意したが、フィッシュもそれを日本への最後通牒と受け止めた。「ルーズベルトは宣戦布告演説で、日本と平和維持交渉の最中と語ったが、議員の誰一人として最後通牒が存在を知らなかった」と自著に書いている。
 
 彼の歴史観は修正主義の立場であり、まだ大多数が正統派歴史観を信じる政治家やメディアから相手にされなかった。日本人が知らねばならないのは、フィッシュの次のようなメッセージだ。
 
「あの戦争は必要のない戦いだった。日本政府も日本国民も戦争を望んでいなかった。我が国アメリカも戦争など望んでいなかった。日本人はあの戦争を最後まで勇敢に戦った。アメリカと日本のあいだに、二度と戦いがあってはならない。両国は、偉大な素晴らしい国家として、自由を守り抜く。日本が攻撃されるようなことがあれば、我が国はコミットする。世界はそのことを、肝に銘じておくべきだ。」
 
第一部のレコード氏のレポートは、ルーズベルト政権の日本への悪意には触れず、誠実に対日外交に取り組んだという前提に立っている。その点では正統派の考えに立脚している。しかし、その結論は、修正派の主張とほぼ合致している。日米どちらに開戦責任があったかという論争の落としどころとして違和感はない。
 
戦後一世紀近くが経ち、当時のことが歴史になっているにもかかわらず、善悪を巡ってやり合うより健全だ。それより日本は、日米開戦について重要なことを反省していない。当時、アメリカ国民の八三%は戦争に反対していた。この強大な世論をなぜ味方にできなかったのか。フィッシュら有力な戦争反対の政治家に接触していたのか。
 
外務省はそうした世論を的確に分析し、政府中枢に伝えていたか。最後通牒が真珠湾攻撃の後になってしまったという在ワシントン大使館の失態より、八三%の世論を外交上の武器に出来なかった政治家、外務省の稚拙な外交能力のほうが問題である。
 
 それにつけても、最近の世界における中韓による反日活動は目に余るものがある。我が国政治家や外交官のいっそうの地道な活動が要請されるところではあるが、我々国民一人一人も、出来る範囲でそのための努力を重ねるべきだろう。アメリカにおける反日世論に負けるのは、圧倒的に民間の力だという主張がある。

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