ある町に杉の木の夫婦が仲良く暮らしていました
お互い杉の木ですから木はまっすぐに天に向かってそびえているものだと思っていました。
そんな杉の木の両親に赤ちゃんが生まれました
赤ちゃんはすくすくと育ちました。
けど、横に伸びる姿を見て両親は「何か変・・・」だと
感じていました
実は赤ちゃんは「松の木」だったのです。。。
ある日、杉の木の両親はこんな会話を交わします
「うちの子ってなんだか変だと思わない?」
「お前もそう思っていたのか!」
「このままじゃこの子のためにならないわね」
「何とかしなきゃ」
松の木の天分は、くねくねと曲がりくねって横に枝を伸ばすもの・・・
木はまっすぐに上に伸びるものと信じて疑わない杉の木の両親には理解できなかった
それから数日後の夜、子どもがすやすやと寝息を立てて眠っていると、両親は寝ている子どもをぐるぐる巻きに縛ってしまい、大きな植木用のはさみで子どもの枝を全部切り始めました
子どもは泣き叫んで言います
「お父さん、お母さん、痛いよ~。どうして僕の体を切るの?僕なにも悪いことなんてしてないよ~!!」
血だらけになって泣き叫ぶ子に対して両親はこんな言葉をかけます
「これが親の愛情なんだよ。」
「大人になったらわかるからね」
「これがお前のためなんだよ」
枝を全て切り落とされた松の子どもは、成長の芽も可能性の芽も全て切り落とされ、小さく、小さく委縮してしまい無口な友達の少ない子どもになってしまいました
しばらくして、子どもは成長期を迎えどんどん大きくなってきました。
しかし松は杉にはなれません。
子どもはその枝を横に横に伸ばして成長していったのです。
横に横に伸びていく枝を見て両親は落胆してしまいます
「うちの子は直らなかった・・・」
そうして松の子どもは病院に連れていかれます
最初の先生は「松」の先生でした
先生は言います・・・
「お宅のお子さんは全く正常ですよ。すくすく育っています。どうぞこのままのびのびと育ててください」
それを聞いた両親は
「この医者はヤブ医者だ。こんな病院信用できない」
と言って病院を変えました
次の病院の先生は「桃の木」の先生でした
杉の両親には桃の先生の言っていることが全く理解できませんでした
不信感をもった両親はまたまた病院を変えました。
自分たちの気が済むまで転々と・・・
そして、やっと「杉の木」の先生にめぐり合いました
その先生は言いました
「ご両親の苦労がよくわかります。やっぱり木はまっすぐと空に向かって伸びていないとね」
それを聞いた両親はとても安心しました
「この先生は、私たちを理解してくれている。素晴らしい先生だ」と大喜びしました
病院をたらい回しにされた「松」の子どもは、結局誰からも理解されることなく理不尽な教育としつけを受け続けました
可能性の芽も成長の芽も全て切り落とされたまま・・・
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引用ここまで。
いい話だったので紹介しました。