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チベット人焼身抗議対策に「連座制」=家族の土地を没収、公職追放(tonbani)

2014年02月16日

■5日焼身のパクモ・ドゥンドゥプ死亡確認 焼身に厳しい連座制で答える当局■


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*ゾゲ県人民政府が発行した16項目に及ぶ焼身に関する規定通知書(チベット語版)。

RFAによると、2月5日にアムド地方ツェコク県ドカルモ郷で焼身したパクモ・ドゥンドゥプ(29)の死亡が確認された。パクモ・ドゥンドゥプは焼身当日に死亡。当局により火葬された翌日、家族に遺灰が渡されたという。当局は家族に遺灰をマチュ川に流すよう命令した。

パクモ・ドゥンドゥプの焼身から8日後の2月13日には、ンガバでドルジェが焼身した。連続の焼身抗議は半年ぶりとなる。3月10日はチベット民族蜂起記念日。その前後には毎年緊張が高まる。今後さらなる焼身抗議が続くことが懸念される。

中国政府は焼身抗議を強圧的に抑止しようと、「連座制」を導入している。焼身者がでると、家族や村、僧院に罰を与えるという内容だ。その通告書の内容がチベット亡命政府に伝えられたのでご紹介したい。


■連座制、16カ条の通告

第一の通告書はンガバ州ゾゲ県の人民政府が発行したもの。2013年4月8日頃に県内各地に張り出されたという。この情報は最近インドに亡命したタムディン・キャプによりもたらされた。ゾゲでは2012年11月から2013年7月の間に9人のチベット人が焼身抗議を行った。その抗議を強圧的に制止する目的であろう。

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*中国語版。

16項目からなるこの通告者は中国語とチベット語で発表された。中国語は作家ツェリン・ウーセル氏のブログで、チベット語はTibet Timesでも文字おこしされている。その要旨を紹介しよう。


・焼身者を出した家族(父母、配偶者、子供、兄弟姉妹)は政府援助の機会、就労機会を奪われ、如何なる公職にも就けない。
・耕作地その他の土地を取り上げられ、外国やラサには3年間行けない
・これまで受け取った政府援助は3年遡ってこれをすべて返さなければならない。
・焼身者を出した村は3年以内に政府から得た援助金を返納しなければならない。
・焼身者を出した僧院には厳しい再教育が課され、宗教行事が制限され、1万元から50万元の罰金が課される。
・またその僧院の管理委員会の職員は昇進の機会を失う。

一方で最後の16条には「焼身を計画している者やその他焼身に関係する情報を当局に伝えたものには2千元から50万元の報酬が与えられる」「秘密は守られる」という密告奨励の条項もある。


■読経禁止……4つの厳禁事項

もう一つの通告書は昨年12月19日、甘粛省甘南州サンチュ県アムチョク鎮の路上で僧ツルティム・ギャンツォ(43)が焼身抗議を行った後、当局が張り出したというものである。

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「四つの厳禁事項」と名付けられた通告書だが、焼身時及びその後の禁止条項として以下のように規定している。

1、焼身現場に集まり、遠巻きにしてはならない。
2、僧侶は焼身者のために追悼会や祈祷会を行ってはならない。
3、焼身者を出した家を弔問したり、香典を持って行ってはならない。
4、焼身者の遺体を一般人が運んだり保持してはならない。

習近平政権はチベット人の命を掛けた焼身抗議を力づくで押さえ込もうとしている。伝統的葬儀さえ禁止しているのだ。こうした政策は一時的に焼身の数を押さえる効果が有るかも知れないが、短期的にも長期的にも、チベット人の政府に対する不信感、反感、憎悪を増長するばかりであり、亀裂は深まり、問題は大きくなり、チベット人をさらに極端な道に追いやるものだろう。

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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2014年2月14日付記事を許可を得て転載したものです。

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