八重山の医療を守る運動を進めよう
■内科医8人が同時に退職
離島住民の生命を守る基幹病院である県立八重山病院は本年3月末、内科医9人のうち8人が同時に退職する異常事態を受けて、石垣市長らは年末に県病院事業局を訪ね医師確保を要請した。
また琉球大学や中部病院、南部病院にも医師派遣を要請したが、
担当者は「できるだけ協力していく」とした上で、医師確保のためには地域や県でお互いに知恵を出し合い、過重労働が慢性化している勤務体制、待遇改善などの課題を克服する必要があると理解を求められたという。
(中略)
■過酷な就労環境
医師不足問題は今に始まったことではないが、
八重山病院は琉球大学医局からのローテーションと県立病院研修修了者で占められ、
派遣は1年単位または数カ月単位の異動のため、39人の医師中、長期勤務者は5人、八重山出身医師はわずか1人となっている。
さらに八重山は多くの離島を抱えるため離島代診、ヘリコプター患者搬送受け入れ、石垣市夜間診療所の廃止により救急ではないのにコンビニ感覚で訪れる夜間外来者の増加など当直医の負担が重く、医師の就労環境は劣悪となっている。コンビニ受診は医師を疲弊させ本当に高度な医療が必要な人が受けられなく恐れがある。
慢性的な人手不足で休暇が取りにくく、離島のため費用負担が重く、研修や学会への出席も困難となっている。これでは離島医療に大きな志を抱いて着任した医師たちも派遣期間が終了するとともにさっさと都市の病院に戻りたくなるのが当然の結果だろう。
■兵庫県立柏原病院の例に学べ
平成19年、兵庫県立柏原病院では(中略)小児科医師7人中6人が退職し、(中略)地域のお母さんたちが「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成して立ち上がり、(中略)病院の収益が改善、医師は5人まで回復し、「守る会」活動は全国から注目されている。
医師不足が慢性化する八重山にとってこの市民運動は大きな参考になる。地域医療確保は行政の責務であることに間違いはないが、医療従事者にとって働きがいのある良い環境・良い雰囲気は必要で医師の定着化につながっていく。地域住民にとっても高度で持続性のある医療確保は最も重要なことである。
県立柏原病院の例に学び、住民自ら行動を起こすことが求められている。
http://www.y-mainichi.co.jp/news/17537/
引用ここまで
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どれもこれも、いままで散々語りつくされたネタであり、
「何をいまさら」という感じです。
「地域こそが最先端」をスローガンにしている医局があります。
確かに、最先端の取り組みを行っている地域は多数あります。
しかし、「地域=最先端」ではないということが、この記事を見るとよくわかります。
>石垣市長らは年末に県病院事業局を訪ね医師確保を要請
>また琉球大学や中部病院、南部病院にも医師派遣を要請
要請だけなら誰でもできる。
「自分の市の病院じゃないし」と、地域医療確保の責任を丸投げする市長。
今まで、県に「おんぶにだっこ」
何もしなくても医師が来たから、どうすれば医療を守れるのか?
その知恵やノウハウもない。
「おかあさん、ごはん~」と飯が食えて当たり前だと思っている子供と同じです。
要は、石垣市の医療行政は自立していないということです。
>地域や県でお互いに知恵を出し合い、
>過重労働が慢性化している勤務体制、待遇改善などの課題を
>克服する必要があると理解を求められたという。
大人なら、「お察しください」と言ったところでしょうか。
>派遣は1年単位または数カ月単位の異動のため、39人の医師中、長期勤務者は5人
ずっと住むわけじゃなく、自分の故郷でもない地域のために、
体を張って医療を守ろうなんて人はいません。
仮にいたとしても、「抵抗勢力」に阻まれて心を折られるのがオチでしょう。
医局ローテーション頼みの医療なんて、イザというときに脆いもんです。
>長期勤務者は5人
本当は、この人たちが体を張って医療を守るべきだと思うんですが、
「事なかれ主義」で、
「定年までつつがなく過ごせればよい」と思っている気がします。
本気で医療を守るなんてないでしょう。多分。
>離島代診、
>ヘリコプター患者搬送受け入れ、
>石垣市夜間診療所の廃止
>コンビニ感覚で訪れる夜間外来者の増加
>当直医の負担が重く、医師の就労環境は劣悪となっている。
>慢性的な人手不足で休暇が取りにくく、
>離島のため費用負担が重く、
>研修や学会への出席も困難となっている。
新聞記者にここまで指摘される病院も珍しいと思います。
病院の中の人たちは、これ以外にも
もっともっと「病院のダメなところ」をたくさん知っていると思います。
「八重山病院のダメなところ」を一つ一つ改善しなければ、
待っているのは医療消滅です。
>住民自ら行動を起こすことが求められている。
住民が行動を起こすことはもちろん大事ですが、
行政・病院職員が自ら行動を起こさなければいけません。
ただ、上にも書いたとおり、
地元愛の無い医師や県職員が積極的に動くとは思えません。
これが、県立病院(国立もそうかな?)の弱いところです。
もっとも、病院の収益改善のため、医師給与を真っ先に下げる病院ですから、
誰もこんな病院に行きたくないと思います。