地域医療改善へ講座 三重大
津市が寄付、来月開設
三重大(津市)に津市の寄付による「津地域医療学講座」が9月1日から開設されることになった。医師3人が県立一志病院(同)に勤務して地域医療に関する研究を進めるほか、患者の診療を行う。27日には津市役所で、同大の内田淳正学長と前葉泰幸市長、鈴木英敬知事が設置協定を結んだ。
市は白山、美杉地域の住民や診療所医師の高齢化が進む中、今後の医療体制を考える必要があるとして、昨年度から県や同大と協議を重ねてきた。
講座は2015年度まで置かれ、同大が9月から医師1人、来年4月から2人をそれぞれ派遣し、同病院で原則3年間働く。市は必要な経費として、同大に年間約3400万円を限度に寄付する。
派遣された医師は、医療体制のあり方や高齢者の病気予防などについて研究。地域医療を担う医師の養成カリキュラム開発や、研修医の教育を行い、継続的に住民の健康を守っていける仕組み作りに取り組む。
講座の開設により、救急医療の改善にも大きな期待がかかる。昨年、救急車が患者を搬送する際、医療機関に10回以上、受け入れを照会したケースは242件あった。このうち、平日の昼間が42件に上るなど、救急患者の受け入れが大きな課題となっている。
この日の調印式で、前葉市長は、「昼間にこうした事態が起きていることを少しでも解消したい。一定の成果が上がると期待している」と述べた。
同大は亀山市や伊賀市、名張市でも寄付講座を開設しており、内田学長は「地域医療を充実させるために何が必要なのかなど、研究を通して県内の医療改善に結びつくことを願っている」と話していた。
(2012年8月28日 読売新聞)
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引用ここまで
大学(学長)、
市長(自治体)、
そして知事(県)。
それぞれの思惑が混ざり合う寄付講座。
この記事では、派遣される医師の事情には全く触れられていない。
派遣される医師の希望は考慮しなくてもよいのか?
>派遣された医師は、医療体制のあり方や高齢者の病気予防などについて研究。
>地域医療を担う医師の養成カリキュラム開発や、研修医の教育を行い、
>継続的に住民の健康を守っていける仕組み作りに取り組む。
大学としては、研究のネタ提供、学生・研修医の教育、医局員のポスト確保などが狙いだろう。
>講座の開設により、救急医療の改善にも大きな期待
>前葉市長は、「昼間にこうした事態が起きていることを少しでも解消したい。
>一定の成果が上がると期待している」
市側は、おそらく研究や教育なんてものに微塵も興味は無く、
救急医療が改善されて市民や市議会議員から文句が出ないようにすることが狙いだろう。
>同大は亀山市や伊賀市、名張市でも寄付講座を開設
県は、地元選出の県議会議員などの要望に答える形で
大学と手を組んで議員のお膝元に寄付講座を設置することになったのではないか?。
寄付講座から派遣される医師は
特任教授~助教などの肩書きを、のし紙の代わりに与えられ、
大学、市、あるいは県からあらゆる要求を突き付けられる恐れがある。
いくら「地域のために」と、
派遣医師が良いアイデアを思いついて実行しようと思っても、
大学、市、県の利害に反するものには反対され、
大学、市、県の利益にならないものは後回しにされる。
大学からは「○○の研究をやれ、データを集めろ、学生と研修医が来るからよろしく」
と言われ、
市からは「救急患者を受け入れろ、収益を改善しろ」
と言われ、
偉い人に翻弄されて「自分の思い描いていた医療」が出来なくなるばかりでなく、
彼らの「都合の良い道具」として使われることになる。
一般医局員は、嫌なら辞めれば済む話だが、
もしも派遣されるのが借金奴隷地域枠医ならば、辞めることは困難である。
あと、寄付講座では
市・大学・病院の利害関係が一致しないのも困る。
例えば、市の言うとおりに救急受け入れを強化して派遣医師が忙しくなったら、
学生の教育は放置、研究は遅々として進まず、無理をさせれば燃え尽きる。
逆に、大学側の言うとおりに新しい検査なり治療なり研究をやろうとすれば、
診療体制の変更等が必要になり、病院の負担が増す。
「そんなことは聞いていない!」と反発されたりするかもしれない。
偉い人同士はケンカできないから、しわ寄せは現場に来そうである。
「寄付講座」を生かして何が出来るか夢を語る前に、
現在のスタッフと設備で、現実的に何が出来るのか、
どのような体制なら持続可能なのか、
焦って医師を派遣する前に
市、病院、大学、派遣予定医師、あるいは県も入って
十分に協議し「寄付講座」の方向性を決めなければならないのではないか。
それぞれの思惑、目指すところが異なる以上、
それぞれが、ある程度「妥協」しなければならないだろうが。
とりあえず寄付講座を作って、
借金奴隷地域枠医あるいは奴隷医局員を送り込み、
市やら県やら大学やらが、現場の医師の都合を無視して
ああでもない、こうでもないと次から次へと要求してくる現場では
まともに地域医療の活動や研究が出来るとは思えない。
せいぜい、「ダメな病院」の症例報告が出来あがるくらいだろう。
全国の寄付講座絡みの偉い方々には、
派遣医師を潰すような無茶振り・無理強いをせず、
「現場・地域の医師が主導する医療」をサポートする立場であってほしいと願うばかりである。
全国で大流行の寄付講座。
果たしてその現実はどんなものだろうか。
もしも自分が寄付講座絡みで派遣される立場になった場合は、
偉い人が文句を言おうが俺の好きなようにやらせてもらうがな・・・
我慢するよりはケンカするほうが楽な性分なもんで。
それに、市やら県やら大学やらの言う事をホイホイ聞いて
彼らに都合のいい仕組みにしてしまうと、
現場の医師に都合が悪い病院になってしまう恐れがある。
そんな「ダメな病院」にまともな医師なら関わりたいと思わない。