僻地医療関係者だけでなく、医療と関係のない人たちにまで
「医師イジメの悪の村」というイメージが広がってしまった上小阿仁村。
もう旬を過ぎた記事ではありますが、フリーライター・神田憲行さんが取材に行ったとのことで、
備忘録を兼ねて掲載しておきます。
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引用ここから
ネットで「悪の村」と指弾された上小阿仁村長が「いじめ」に反論
http://www.news-postseven.com/archives/20121125_156661.html
「悪の村」「村民全員が意地悪い」。診療所の医師が辞職するたびにネットでそんな風評を立てられて苦しんでいる村がある。秋田県中央部に位置する上小阿仁(かみこあに)村だ。なにが原因なのか、どのような被害が起きているのか。村長のインタビューを中心に、村の現状をリポートする。(取材・文=フリーライター・神田憲行)
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上小阿仁村は人口約2700人、65歳以上の高齢者が人口に占める割合の高齢化率45%(秋田県の自治体で最高水準)。村民の年間平均所得は143万3000円、県下で下から2番目に低い。村の総面積の90%以上は山林原野だ。
ことの発端は、この村で公募した村の診療所勤めの医師が、08年からの4年間で4人とも短期間で辞めていったことである。とくに2011年5月30日に2番目に辞めた女性医師に対して一部村民から言いがかりのようなクレームがあったことを、前村長が村の広報誌で紹介した。
《まったく「いじめ」と思われる電話もあるそうですが、このような不心得者は、見つけ出して、再教育の必要があるようです》
《このような不心得者は、わずか5~6人に過ぎないことを確認しております》
その後も医師が辞職するたびに、「いじめがあった」とネットに書き込まれるようになった。
「ネットの書き込みを見て、村に『悪の村』とかメールや電話が掛かってきています。これはもういじめですよ。あんな思い込みの書き込みを本気になするなんて、ちょっとおかしいんじゃないか」
上小阿仁村の中田吉穂村長(61歳)はそういって顔をゆがめる。
──しかし4年間で4人とも短期間で次々と辞めるというのは不自然ではないでしょうか。
中田:どうして? 体調不良であればしょうがないですよ。
──2番目の女性医師に関しては、前村長が広報誌で村民の「いじめ」のようなものがあったことを指摘しています。
中田:うん、その文章は重い。でも当時町議だった私はこの女の先生が辞めて帰られる前に1時間ほど話をしたのよ。「上小阿仁のことは忘れない」と言ってくださったし、「(広報誌で)本意ではないことを書き残されて、私としては悔やみきれない」と話されていたんですよ。
──この文章では「不心得者が5~6人」と具体的です。
中田:これは、これはよ……(首をかしげて)前の村長がどういう意味で書いているのか……。
──では中田さんは、辞めていく理由についてどのように分析されていますか。
中田:それは個別に、いろんな事情が重なっていると思います。たとえばこの女の先生は本当に熱心で、午前中に診療所の診察が終わると、昼休みに兼務している村の特別養護老人ホームに自発的に様子を見に行くような人なんですよ。そうすっと午後の診察開始が遅れることもある。待っている人はイライラしてっから、不満をぶつけることもあったんじゃないか。そういう忙しさとストレスから体調を崩されたんだと思います。心臓にペースメーカーを入れているような人だったから。
──そのあと2011年6月1日に来た3人目の40代の男性医師も、今年12年10月12日に、「水が合わない」と言い残して辞められています。
中田:それはたぶん気候なんですよ。このへんは天然の秋田杉の名産地で、シーズンは空が真っ白になるくらい花粉が舞う。鼻水が出たり大きなマスクしてたから「先生、大丈夫ですか」と聞いたら、「気候が合わない」とおっしゃっていましたから。
──だとしたら「花粉症で」と言えば済むのではないでしょうか。なにも「水が合わない」という含みを残した言い方をしなくても……。
中田:まあ……それは体調が最悪の時期だったぺ。あとたぶん、若い先生にしたら、この村での地域医療はやり甲斐がないと思う。診療所には入院施設もないし、薬を出す以外はたいした治療もできずに秋田市内の大病院に紹介状を書くことが多い。ただの紹介屋さんみたいになってしまうんだな。若い村民は自分で車運転して最初から他の病院に行ってしまうケースもある。そうするとほとんどお年寄りしか病院に来ない。そういう先生の「想い」と現実の差がストレスになっているんかなあ……。この先生は「自分はまだ若いから、医師としての腕を磨きたい」と帰られる前におっしゃっていました。
──そのあと直近で今年10月に来られた71歳の医師はひと月で辞職されました。
中田:ご本人が「80歳まで頑張る」というので来ていただいたんだが、残念ながら自己管理ができてなかったす。たちまち体調を崩されて心臓が弱り、もう故郷に帰られました。
──医師たちが次々と辞めていくのは、ちょうど激しい選挙戦で当選した前村長が就任した翌年の2008年から始まっています。選挙を巡って村内の対立がこの問題に影響を与えているのではないでしょうか。
中田:それは憶測です。選挙に絡めた方が(メディアは)話題性はあるわね。選挙のたびに医者が代わるとか、(話を)作ろうと思えばいくらでも作れる。なんでそんな勝手な憶測ばかりするのかなあ……よぐわがんねぇ。もしそうなら、村長選挙に「新しい医者を連れてくる」とか公約に掲げればいいけど、そんなことしていない。
前村長の小林宏晨氏は、女性医師への「クレーム」については、「これは実際にこの女性の先生と話をして、彼女から聞いたことです。ただ5、6人の名前は教えてもらえませんでした」と語る。クレームを付けていた「不心得者」は小林氏への反対派ではないかという質問には「そういうことは私の口からは言えない」として、女性医師が辞職した理由についてこう述べた。
「彼女は医師として熱心で、土日でも深夜の1時2時でも求められると診察していました。私はそれは止めた方がいいと言ったんだが……そうやって熱心に診察してても(クレームが来て)無力感を覚えたのではないかな。また村民の中には『男尊女卑』というのか、女性の医師について無理解な人もいたと思う。都会と地方の文化的な落差があった」
村の広報誌で書かれたように、女性医師への「過度のクレーマー」と呼ぶべき村民が一部いたことは事実のようだ。しかし一方で、この女性医師の辞職願に対して「辞めないで」と村民の5分の1を超える600人の嘆願書が集まったことも事実である。また彼女以外の医師について村民とのトラブルは、今回の取材では1件も出てこなかった。
診療所で診察をまっていた80歳の男性は、ネットの「風評」について「聞いたことがある」と頷いて、うなだれた。
「上小阿仁の者が、先生をいづめるってことはねぇべや……」
秋田の“あの村”の村長「ネットで嘘書かれたことが障害です」
http://www.news-postseven.com/archives/20121126_156663.html
ネットの風評で医師募集に苦しんでいる村がある。秋田県上小阿仁(かみこあに)村だ。どのような「風評被害」が起きているのか。ネット上で“あの村”と語られる同地の現状をリポートする。(取材・文=フリーライター・神田憲行)
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上小阿仁村は秋田県中央部に位置し、人口約2700人、高齢化率45%、村民の年間平均所得は143万3000円という小さな村である。
2008年から4人の医師が次々と短期間で辞職し、「村民がいじめている」とネットでは面白おかしくネタにして流言飛語が飛び交っている。
中傷メールが送られていることもあり、「最近は減って5、6通」(村総務課)というから、かなりの数が来ていたようだ。「電話でいきなり罵倒してきて、お名前を伺うとガチャンと切る人もいます」(同)。
ネットの「風評被害」は、現実の医師の募集にも障害を来しているという。中田吉穂・上小阿仁村村長に聞いた。
──ネットでの村についての記述が医師の募集に影響はありますか。
中田:(大きくため息をついて)あーあ、ありますね。先生をさがして病院にいっても「上小阿仁村は大変ですね」と、まずそこからスタートですもん……。あんなことばかり書かれたら、わざわざ「私が助けてあげましょう」と名乗りを上げてくれる先生なんかいないですよ。ああいうネットの無責任な書き込みが、こういう無医村の医師募集の障害になっていることをわかってほしい。ネットの中傷とか変なメールとか、それが最先端の情報社会でやることなのかよ。
──医師の募集は村のHP以外でどのような方法をとられていますか。
中田:なかなかないなー(ため息)。あと医療機関の専門誌にも求人を出しています。医大からの紹介というのも、今は来てもらえないよ。若いお医者さんはやはり再生医療を目指して都市部の病院にいくから。
──秋田県との連携は?
中田:あまり県さ行ってないのよ。秋田県全体で医師不足なんで、派遣してくださいといっても簡単にはできない。都会にはお医者さんはいっぱいいるだろうけれど、こういう田舎だし、インターネットで嘘書かれたことが障害ですよ。ネットが村の年寄りをいじめているようなものだよ。
前村長の小林宏晨氏は、ネットの中傷書き込みを真に受けて、辞めた医師の出身大学のOB会から「質問状」の手紙を受け取ったこともある。
「『返答の内容によっては公開する』とわざわざ書いてありましたよ。丁寧に返事したらなんの反応もありませんでしたが。どうしてあんな書き込みを医師の団体が信用して、全く関係がないOB会がわざわざ手紙を寄越すのか、理解に苦しみますね」
──新しい医師の募集で待遇面の見直しはされましたか。
中田:特養老人ホームの非常勤医師の兼任は止めました。やはりあれがあると夜中に急変した入所者に呼び出されたり、大変な緊張感を強いられることになります。年収の上限は2000万円、2階建てバリアフリーの車庫付き一軒家を家賃月5000円で提供しています。待つ身だけでは辛いので、村で奨学金を積み立てて自前のお医者さんを育てるようなことも考えているけれど、それも10年かかるしなあ……いまはいろんなところにお願いして、週のうち2日3日でも派遣で来てもらうことをお願いするしかないですよ。
医師の年収は村長の給料よりもちろん高く、村民の平均所得が150万円足らずというこの村では破格の待遇だ。19日から常勤医がいなくなった同診療所では、秋田市内の病院を引退した医師に週1回来てもらい、市内病院むけに行く巡回バスを走らせることで対応している。
しかし「街の病院行くと、薬貰うだけで1日仕事になる」(村民)と評判が悪い。村には約270人の独居老人がいて、中田村長のところに「まだ先生は見つからないですか」と、電話を掛けてくるお婆さんもいる。
匿名の中傷の嵐に、小さな村が翻弄されている。
引用ここまで
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当ブログとしては、
上小阿仁村で本当は一体何があったのか?
或いは何があるのか?
真実を明らかにしたい所である。
じつは俺もちょっとだけ行ってみたい。
もちろん、医師不足に悩む村を助けたいわけではなく、
「世界危険地帯を巡る旅」とかに行く、物好きの変態と同じスタンスだがwww
で、この記事の村長の発言、
「反論」というか、「言い訳」というべき内容。
本気で反論したいのなら、自らの思うところをネット上に拡散すればいいと思うが、
かえって墓穴掘りそうな勢いです。
この記事は、必ずしも村長の真意を反映していないのかもしれませんが、
「自分は悪くない、辞めた医者が悪い、ネットが悪い」
「村に医者が来ないのは最近の医者の都会志向とネットの風評被害のせい」
この記事を読む限りでは、率直にそういう印象を受けます。
おそらくこの村長が管理者か設置者のはずなのに、
まるでダーツの旅で発見された第一村人並みの認識に思える。
村長というのは、村の代表であり、
自ら先頭に立って村を引っ張っていくべき存在であり、
『平均的な村人A』では困るのです。
ただ、上小阿仁村に限らす、
そういう優れた市町村長なんてのは滅多にいないのが現実でしょう。
マンガやドラマに出てくるスーパードクターが夢物語であるのと同じです。
最近の若い医師は都市部で最先端医療をやりたがる。
確かにそれは間違いではない。
しかし、小規模診療所でプライマリケアをやりたい若者だってそれなりにいるのだ。
女が全てジャニーズ系のイケメンを好むとは限らないのと同様だ!
デブ好き美女もいるのだ!!!
なぜこの村長は、そういう層にアピールしようとしないのか。
ネットの評判が真実と異なるのなら、なぜ真実を明らかにし、世に公表しようとしないのか。
医師が辞めたのなら、なぜ村側に反省点が無かったかどうか考えないのか。
つっこみたい所は山ほどある。
しかしまあ、これから僻地の市町村立病院での勤務を考えている人は、
僻地の市町村長なんてのは概ねこの程度と考えておけば
さほど期待を裏切られずに済むでしょう。
最初から、「僻地住民に良い医療を提供しよう!!」とか、
考えない方が精神衛生上、無難だと思ってます。
「とりあえずヒマで大金もらえればそれで良し、その上で少しは良い医療活動が出来たらいいな・・・」
ぐらいのスタンスでなければ、変態的な医師でない限り、まず長続きはしません。
僻地医療は、参入こそ容易だが、長く継続するの困難な分野でもある。
まずは無理せず続け、その土地に居座り
地域における「政治的基盤」を固め、自ら地域の有力者となって
そこでようやく
「自らの考える所の良い医療」を提供できるようになるのではないか。
そこまで出来ている人って、数える程しかおらず、
とても「キャリアモデル」と呼べる代物ではない。
ただまあ、
「容易に参入でき、容易に高給が貰え、皆容易に辞めていく」という僻地医療の特性は
「僻地医療ゴロ」にとっては有難いポイントではあるw
最も、上小阿仁診療所に関して言えば、
「僻地医療ゴロ」 かつ 「怖い者好き」
を満たす人材でなければ務まりそうにない。
念のため行ったおくが、俺は自信ないw