小惑星:「イトカワ」の自転 わずかずつ速まる

毎日新聞 2014年02月16日 16時41分(最終更新 02月16日 17時49分)

探査機「はやぶさ」から撮影された小惑星「イトカワ」=JAXA提供
探査機「はやぶさ」から撮影された小惑星「イトカワ」=JAXA提供

 日本の探査機「はやぶさ」が2005年に着陸、物質採取に成功した小惑星「イトカワ」の自転が、わずかずつ速まっていることが分かったと、欧州南天天文台(ドイツ)が発表した。英ケント大などの研究チームは、内部の密度が小惑星の前後で異なるためと推測している。

 イトカワは長さ約540メートルで、現在は約12時間の周期で自転している。ラッコが寝そべったような形もしくは落花生のような形をしており、太陽の当たる角度によって明るさが変わる。研究チームはチリにある同天文台の望遠鏡で、イトカワの明るさの変化を精密に観測した。その結果、1回の自転にかかる時間が毎年0.045秒ずつ短くなっていた。

 はやぶさが詳細に観測したデータから、イトカワは、もともとあった大きな天体が何らかの理由で壊れた後、その中の大きな二つの岩の塊が衝突してできたと考えられている。イトカワのようないびつな形の小天体は、太陽光を受けることでごくわずかな回転力が発生する。研究チームは、ラッコの頭に当たる方の部分の密度が、胴体に相当する部分より大きく、重心が片寄っているため自転が速まっていると結論づけた。【西川拓】

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