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ともこさんが書き込んだレビュー (神奈川県相模原市)

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野菜がかれらを育てた―生きるヒントをくれるオーガニック・ガーデン
野菜がかれらを育てた―生きるヒントをくれるオーガニック・ガーデン
大塚 敦子著
エディション: 単行本
価格: ¥ 1,890

5つ星のうち 5.0 飢えた心に寄り添って育む庭, 2012/2/28
サンフランシスコの刑務所とそこを出所したときの受刑者たちの生活の場であるゲットーで、オーガニックファームを運営して、受刑者たちの更正を助ける肝っ玉かあさんキャサリンの奮闘記。

受刑者といっても、このプロジェクトの対象になるのは、殺人、レイプ、強盗など暴力犯罪で収監された人たちではなく、麻薬の所持や売買に関わった人たちだ。彼らの多くはゲットーで育ち、それ以外の世界を知らない。麻薬と暴力がない世界を知らず、そこから抜け出すすべを知らない。子供の頃からいつも酷い目にあって、他人はおろか自分すら信じられなくなっている。そんな彼らが植物を育てることで少しずつ自信を取り戻し、麻薬から抜け出していく様子を描いている。
麻薬から抜け出してもなかなか生活までは変えられない。彼らは自分で育てた野菜を食べない。野菜なんか食べたことがないからだ。ストリートから抜け出して目が飛び出すほどの家賃を補助して貰って家を借りても、そこに居着くことができない。普通の暮らし方を知らないからだ。遅々として進まない更正に寄り添いながら、共に生きるキャサリンのたくましい暖かさが心を打つ。

ごく普通の環境に育っても、社会で自分の居場所を見つけ、人々と関わる中で自尊心を育て、誇らかに生きていくことはけっこう難しい。ゲットーでは、生まれ落ちたときから、達成感が得られにくい生活を押しつけられるばかりでなく、即席の達成感をもたらす麻薬が常に身近にあって、それに手を出してしまえば犯罪者として、さらに社会からつまはじきにされる。何と生きにくい場所だろう。
豊かなアメリカで、底辺に追いやられた人々は、体こそ飢えることはないが、心は深刻な飢えにさらされている。そしてそういう飢えた心を食い物にし、麻薬をはびこらせて儲ける人たちがいる。まさに弱肉強食。そんな中で、飢えた心に寄り添って、地道な活動を辛抱強く続ける人々もいる。アメリカの深い闇に明かりをともし続けようとする人々に頭が下がる思いだ。


がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」
がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」
ダヴィド・S. シュレベール著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,310

13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 がんになりたくない人が読む本, 2012/2/15
中年以上のほとんどの人は、体内に微少なガン細胞を持っているが、多くの人はそのガン細胞を押さえ込んで共存し、健康な状態を保っている。末期ガンを宣告された医師が、その知識を生かして、「ガン細胞を暴れさせてしまった自分とそうでない人はどこが違うのか。」という命がけの疑問に、とことん挑んだ世界的なベストセラーの邦訳。
がんと戦うためには、戦いの主役である免疫系の細胞を活性化し、体内の炎症を極力鎮めなければならない。そのための正しい食のあり方、心の平安の保ち方、適度な運動の効用を説くと同時に、なぜそうしなければならないかを科学的に説明している。

ヒポクラテスの「食もて癒やせぬ病は医もまた癒やせぬ」という結論は、現代の医学に照らしても妥当であると著者は語る。これは裏を返せば、正しくない食から生じる病を直す特効薬などないということだ。それでも製薬会社は特効薬を目指し、医師も患者もそれを待ち望む。お金の力に医師も患者も絡め取られて、身動きが取れなくなっている。そこから抜け出さなくては、体は守れない。

心の平安を保つためにいろいろな瞑想法が紹介されている。なかでも宗教のお祈りの中には、それを唱えることで呼吸が整って、バイオリズムが整うものがあるという報告は印象的だった。修験者ではなく、一般庶民に勧められたこのような方法が、もしかしたら万人向きの瞑想法なのかもしれない。

炎症は、アルツハイマーにも関係しているといわれている。ガンにもこんなに大きな影響を与えるのなら、オメガ3とオメガ6のバランスは、絶対に保たなければならないものだ。ただ著者が、人が食物連鎖の頂点にいることで環境内の毒をため込む危険があるといいながら、オメガ3を含むフラックスを添加された飼料で育てられた肉や乳製品は食べてもいいとしているのは納得できない。そんな面倒なことをしなくても、人がフラックスやエゴマを直接食べて、肉を食べないようにすれば、食物連鎖の頂点から降りることができて、なおかつオメガ6とオメガ3のバランスも保てるから、いっきょに問題が解決するのではないだろうか。


クラウド化する世界
クラウド化する世界
ニコラス・G・カー著
エディション: ハードカバー
価格: ¥ 2,100

1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 社会の方向性を決めるのは、テクノロジーの影響を受けた経済の波。, 2012/1/26
今から100年前、安価な電力を供給するネットワークの完成によって、産業革命の成果が最大限に生かせるようになり、テクノロジーはヒトの身体能力を超えた。
このときも「電化は地球をユートピアに変える。」というような楽観的な未来像が巷にあふれた。ユートピアは実現しなかったが、電化は社会に大きな変化をもたらした。それが今の社会だ。電化によって製造業の収益性が上がって、労働者の取り分が増えたばかりでなく、多量の事務作業が必要になってホワイトカラーの需要が増えた。豊かになった労働者は高等教育を受けられるようになってホワイトカラーに進出し、中産階級が大量に出現した。
今私たちは、電化によって出現した社会に住み、クラウド化の真っ只中にいる。そして電化が進み始めたときと同様、楽天的な未来像が描かれている。つまり「クラウド化によって人々は、権力から自由になり、労働から開放される。創作活動の手段を個人が手に入れて、豊かな文化が創造され、調和と相互理解に満ちた社会が作られる。」
果たしてそうだろうかと著者は反論する。現在のところ、クラウド化によってホワイトカラーの仕事が奪われているが、それに変わる新しい仕事は作られていない。その結果賃金は抑えられて、貧富の差は拡大しつつある。権力はすぐに新しいツールを使って人々を支配する方法に熟達し、個人は創作活動の手段を手に入れて、創作活動に励むようになったが、それらの活動が生み出す利益は、一部のデジタルエリートに吸い上げられている。

今から40年くらい前、私がまだ子供だった頃、機械化によって人々は労働から解放されるという話をずいぶん聞かされた。それから40年たっても私たちは労働から解放されていない。それどころか機械化の波をもろにかぶった工員という職種は、需要がなくなって派遣やパートに切り替えられ、その労働条件は著しく低下した。現在ホワイトカラーでも同様の現象が進行中だ。機械化によって労働力が高く売れなくなったら、労働力を売って生活する中流は転落せざるを得ない。著者のいう経済的な力は大きな力を振るっているように見える。

私はテクノロジーがヒトの知的能力を超えた後に、その影響を受けて再編される社会を見ることはないだろう。しかしそれが素晴らしいユートピアであるとは思えない。


自然エネルギーの可能性と限界風力・太陽光発電の実力と現実解
自然エネルギーの可能性と限界風力・太陽光発電の実力と現実解
石川 憲二著
エディション: 単行本(ソフトカバー)
価格: ¥ 1,680

8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 エコというプロパガンダの向こう側, 2012/1/19
自然エネルギーのホープ、風力発電と太陽光発電の現状と可能性を冷静に検討している。

風力発電で火力発電の大型プラント1基と同じ電力を得るためには、大型風車3000基が必要になる。また太陽光発電で同じ電力を得るには山手線内の面積の2倍強に太陽電池を敷き詰めなければならない。これはどう考えても現実的とは思えない。それでも各地でウインドファームの建設が進むのは補助金がでるからで、補助金を得ようとするあまり、ろくな調査もしないで、風の弱い場所に設置し、全く回らないというお粗末な風車もあるらしい。太陽光発電は補助金を出し、さらに電力会社に高値で買い取らせるという無理を重ねて、導入を促進しているが、これは普及によって価格が下がることを当てにした政策で、価格が下がらなかったときに破綻するのは目に見えている。太陽電池は半導体チップのように小型化によって価格を下げる性質のものではないので、普及によって価格が大幅に下がることは見込めない。
というわけで風力、太陽光ともに、従来の発電方法に取って代われる可能性はほぼない。それならば日本の特殊な地形を生かした水力発電や地熱発電のほうが、まだ現実的と思われるのに、新エネルギー法(1997年)はそれらを盛り込んでおらず、2008年の改訂でやっとミニ水力と地熱発電が盛り込まれた。この国のエネルギー政策は将来を見据えて政策の方向性を決めているのではなく、エコのかけ声に乗って儲けたい大企業の圧力でそれを決めているらしい。

もともと戸別にたいそうな設備を作らせる太陽光発電は無駄が多く、設備を作る時と廃棄するときまで考えたら、環境負荷はかえって高くなるのではないかと疑っていたが、やっぱりそうかと納得した。
電力需要は以前は産業用が大きな割合を占めていたが、産業用は節電が進んで需要が伸びず、エアコンの普及で民生用の需要が増えたため、現在は民生用電力需要が産業用を上回っている。そしてその大きな部分がエアコンに使われている。そうであるなら、私たちにできるエコは、自分で電気を作り出すことより、なるべく電力を使わないで、快適に過ごす工夫ではないのか。著者も言っているように、太陽光を電気に換えその電気でエアコンを動かさなくても、窓から射し込む光を暖房に生かす工夫をすればいいわけだ。ただ、その工夫にたいそうな設備投資が必要だった場合は、太陽光発電と同様に、かえって環境負荷をあげてしまいかねない。

OMソーラー、通気断熱WB工法などに興味をもっていたけれど、結局、そんなたいそうな仕掛けを作るより、窓、断熱材、風通しなどシンプルな工夫で快適さを追求するのが一番エコなのかもしれない思った。


日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」
日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」
水谷 竹秀著
エディション: 単行本
価格: ¥ 1,575

36 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 日本はそんなに生きにくい?, 2012/1/16
 日本という国の息苦しさ、生きにくさを、日本を捨てた男たちを題材に浮かび上がらせたかったのなら、もう少し違った事例を選ぶ必要があっただろう。ここに書かれた人たちは、どう見ても日本に捨てられてしまった人たちで、しかも彼らを見る限り、非は彼らを捨てた日本にあるのではなく、彼ら自身にあるとしか思えない。彼らは日本以外のどんな社会でもまともにやっていくことはできないだろう。つまり自業自得。だから、これらの事例から著者の最初のもくろみのように、日本の生きにくさは浮かび上がらないが、それだからと言って取材によって得た内容を曲げたりしなかった所に著者の誠実さを感じるし、事実をもくろみにあわせるヤラセではないと信用できる。
 
 フィリピンはインドネシアと並ぶ労働力輸出国である。そのほとんどが、介護を含む家事労働に従事する女性で、その待遇は現代の奴隷と比喩されるくらい過酷なものである。彼らはその過酷な労働で得た賃金で本国の家族を養っている。稼げるものが稼ぎ、稼げないものは稼げるものにぶら下がっていいという社会常識のもとで、どんなに苦労して稼いでも、稼いだ人がその稼ぎを自分のために使うことはできないし、自分の思い通りに人生を生きることも許されない。それがフィリピンにあって日本からは消えてしまったすばらしい家族の絆の別の側面ではないのか。
 社会に縛られているからこそ、社会に保護されることを期待できるわけだが、登場人物たちは外国人ということで縛られることなく、保護だけを受けている。これは他のレビュアーも指摘しているようにいいとこ取りの特殊な状況で、彼らがいいとこ取りできる理由に、日本人ということも多分に関係しているように見えた。日本人でよかったねと言いたい。

というわけで、著者に聞きたい。日本はフィリピンに比べてそんなに生きにくいですか?


火の賜物―ヒトは料理で進化した
火の賜物―ヒトは料理で進化した
リチャード・ランガム著
エディション: 単行本
価格: ¥ 2,520

7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ヒトは火の賜物, 2012/1/13
「ヒトが火を使ったのではなく、火を使うことでヒトが作られた。」という仮説を様々な角度から検証した力作。

ヒトと類人猿の違い つまり
 1 大きな脳と退化した消化器官
 2 類人猿には存在しない家族間の食物の分かち合い、男女の分業
 3 木登りには向かないが長距離の移動に適した大きな体と体毛の減少

これらの変化のすべてが火の使用と結びつけて語られる。


ヒトが大きな脳を獲得した要因として、「群れで生きるために高度な知性が必要とされたこと」があげられるが、群れを作る霊長類のすべてが賢くなったわけではない。賢くなった霊長類は消化器官が小さくなっている。ヒトに限らず、消化に使うエネルギーを脳へ向けることによって、霊長類の脳は大型化する。だから、脳の大型化には食事法の変化がともなっている。そこで肉食があげられるのだが、ヒトの消化器官の変化を肉食だけで説明することはできない。ヒトは肉食動物と違って肉だけ食べて生きてはいけない。ヒトの脳の大型化は、料理によって消化されやすく高エネルギー化した食事によっているのだ。

生のものを食べるチンパンジーは1日6時間を咀嚼に費やし、それだけ噛んでも消化に時間がかかるために、食後の休息を必要とする。したがって、成功するかどうかがわからない狩りなどに時間を費やすことはできない。狩猟採集民の男性は、家に帰れば料理された食事を保証されているために、存分に狩りができる。さらに料理された食事は高カロリーで咀嚼の手間が省けるため、争ってでも奪いたい貴重品であり、女性は体力に劣るためにその貴重品を守れない。ここに女性が料理を作り、男性がそれを守るという男女の分業が成立する。

火によって暖が取れるようになったために体毛が薄くなり、長時間運動しても体温が上がりすぎてしまうことがなくなったし、捕食者から身を守れるようになったために、樹上で寝る必要がなくなり、体が大型化した。

感想
最近、ベジタリアンになって、ローフードにも興味を持ったため、料理された食物がヒトを作ったという本書の主張に興味を抱いて読み始めた。本書の主張は十分に納得できるもので、ローフードを試す気はなくなった。ローフード推進派の旗印になっているイヌイットの生食文化の報告が、本書が指摘するように誇張されたものであるなら、怪しげな酵素などを持ち出すローフード派の主張に見るべきものは見当たらない。だからローフードに関する本を読む気もなくなった。
ダーウインは「料理は、言語を除けば人類が生み出した最大の発明である。」と主張したようだが、ヒトと動物を隔てたのは料理だった。料理は言語に匹敵するくらい素晴らしい発明だったという主張は新鮮で、興味深いものであった。


海にはワニがいる
海にはワニがいる
ファビオ・ジェーダ著
エディション: 新書
価格: ¥ 1,470

5つ星のうち 5.0 人はこんなにも強い。彼はヒーローらしくはないが、本物のヒーローだ。, 2012/1/12
レビュー対象商品: 海にはワニがいる (新書)
ある日、アフガニスタンに内乱が起き、母は10才の少年を隣国パキスタンの町に放置した。ただ歩いているだけでイチャモンをつけられて、殺されたりするようになったためだ。少年の父は行方不明になり、少年の恩師は教えているというだけで、少年の目の前で銃殺された。その後、少年は5年の歳月をかけて、5つの国境を越える。いっしょに国境越えを計った仲間が次々と斃れても、彼は安心して学校に通える普通の生活を勝ち取るまで、命がけで国境を越え続けた。
その5年間の異国での暮らしと命がけの国境越えの様子が淡々と語られている。淡々としているからこそ、リアルに迫ってくるものがあるが、語り口に暗さがみじんも感じられないので、彼が限りなく悲惨な暮らしを強いられていることをうっかりしてしまいそうになる。
少年は国境を越えながら成長し、現在はイタリアで暮らしている。彼には命をかけても手に入れたいものがあり、それを追い求めて手に入れた。ぎりぎりまで追い詰められても、彼の母のように年端のいかない子供を国外に放置したり、彼のように命をかけて国境を越え続ける人間は少ないだろう。多くの人は不安に怯えながら、それまでの生活を続けるだけで、思い切って国境を越えたりはしない。生活に埋もれず、生活の中から目標を見つけ出し、それを追う体制を作ることは、どんな環境にあっても難しいことだ。しかしどん底にあっても希望を捨てないことで、人は人間らしく生きられるのかもしれない。


TEIJINここちサイエンス 【寒い季節にぴったり! 】軽か~るすっぽりケット ブラウン
TEIJINここちサイエンス 【寒い季節にぴったり! 】軽か~るすっぽりケット ブラウン
出品者:citynet
価格: ¥ 8,100

3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 頭寒足熱、受験生にお勧め。, 2012/1/3
家でデスクワークをするのに、暖房を入れると頭がぼーっとするので、ぎりぎりまで足温器と電気膝掛けで過ごす。さすがに室温が10℃をわると暖房を入れざるをえないが、今年はこのポンチョを被って、まだ無暖房で過ごしている。室温5℃。さすがにパソコンを打つために出さざるをえない手の先は冷たいけれど、ポンチョに覆われたところは寒さを感じないし、頭がスッキリして眠気も覚める。
ただ、いつも私の布団で寝ていた猫のななちゃんも、これが大のお気に入りになり、寝るときはソファーの上に置いてあるこのケットに勝手に潜り込んで寝るようになり、私の布団によりつかなくなった。がっかり。猫の爪で、破けるのではないかと心配したけれど、見た目よりずっと丈夫なようだ。
ちょっとお値段が高めなのが残念。


放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法
放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法
高野 秀行著
エディション: 単行本(ソフトカバー)
価格: ¥ 1,470

12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 凡人に明日は来ない, 2011/12/9
多くの人がすがりついている、もしくはすがりつこうとしている資格とか会社とか、キャリアとかいう通常のセーフティネットに全く頼らず、痛快に生きて、それなりの成果を上げている人たちのお話。

このすごい活劇編に「就職しないで生きる9つの方法」なんて副題がつくから話しがおかしくなる。
どの方法も全く参考にならない。あたりまえのセーフティネットに頼らないで生きる人たちのすごさに圧倒されるだけ。彼らは極限の状況でも希望を抱くことができる。絶対にめげない。それだけでもすごい才能じゃないですか。

なんだ、スーパースターに明日は来ても、凡人に明日は来ないじゃないか。
しかし、この変な副題に惑わされず、活劇を活劇として楽しむなら、断然おもしろい。
変な副題をつけずに素直に感心させて欲しかった。

ただ、就活で煮詰まって視野が狭まっているときに、あたりまえのセーフティネットは必須ではないことに気づいて、自分の人生を俯瞰してみるというのは大事なことかも。そういう意味で、就活生への応援歌になっているのかもしれない。


蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
浅田 次郎著
エディション: 文庫
価格: ¥ 660

1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 西太后はやっぱり謎の女, 2011/12/3
レビュー対象商品: 蒼穹の昴(1) (講談社文庫) (文庫)
 史実上の人物と架空の人物が入り混じって、清朝末期に繰り広げられる壮大な絵巻物語のはずなのだが、他のレビュアーも指摘しているように、万民のために清朝を葬り去ろうとする乾隆帝の霊の意思を受けて、西太后が苦悩するというメインテーマにちょっと無理があって、全体がすんなり流れない。
 その無理が西太后の人物描写に反映して、小説中の西太后は矛盾だらけの馬鹿っぽいおばあさんにしか見えない。あの混乱した時代にあれだけ長い間権力の座にあった西太后が、聡明でなかったはずはないのに、小説中で彼女が発する言葉には、その聡明さの片鱗すら見えない。他の史実上の人物は、李鴻章をはじめ、栄禄や袁世凱、康有為などみんな生き生きとしているのに、西太后だけが幽霊の乾隆帝と同じくらいつかみどころがない。外交の矢面に立って、本人が発した言葉がそのまま記録されている李鴻章などとちがって、御簾の陰にいた西太后の人物像は、いまだに謎が多いのかもしれない。
 西太后以外の史実上の人物の圧倒的な存在感で、主役だったはずの春児と梁文秀が、途中からかすんでしまったが、それも史実上の人物の取材が念入りだったからで、それなりに史実に忠実に書かれているようだ。インターネット上に登場人物の紹介もあって、どの人物が架空の人物かもすぐわかるので、歴史の教科書を読むより、ずっと楽しくこの時代を学ぶことができそうだ。科挙や宦官の制度なども念入りに書かれていて面白い。
 ここで疑問がひとつ。この物語の主人公、春児は小柄だ。宦官は小柄だったのだろうか。かつてヨーロッパでボーイソプラノを保つために去勢されたカストラートたちの身長は通常より高かった。生殖成長が始まらず、栄養成長が長く続くからだ。10才前後で去勢したら、背は高くなるはずなんだけど。


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