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社会を変える高齢者

l  AARP

AARPとは、50歳以上の退職者なら誰でも加入できるアメリカのNPOだ。4000万人近い会員を持つロビー団体で、政府に多大な影響力を与えている。年会費は16ドル。会員権は配偶者も含まれ、無料で権利が与えられる。女性会員数が男性会員数を上回っているのも特徴のひとつだ。会員権にアメリカの市民権は必要無く、4万人を超える会員がアメリカ外の在住者である。元の正式名称は「American Association of Retired Persons(全米退職者協会)」。定年制を撤廃したこと、Retiredという言葉を嫌う会員の声などから、AARPに改名する。会員のメリットとしては、生活情報の提供、旅行などの割引サービス、全米最大発行部数を誇るAARP・ザ・マガジン等の情報誌の送付、会員専用の保険プランなどが挙げられる。

 

l  ロビー活動

 ある特定の主張を持った団体・個人が、政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動のことである。活動の対象となるのは、官僚や政治家、公務員などだ。アメリカでは活発に行われ、多くの企業などが自社の利益を増やすための主張を広めている。連邦ロビイング統制法に基づいて、アメリカでは選挙で選出された公務員以外がロビー活動を行うには、ロビイストとしての登録が必要である。

政治圧力団体として有名なAARPは、様々なロビー活動を行ってきた。65歳以上を対象とする公的健康保険メディアケアの創設、雇用においての年齢差別禁止法などだ。AARP内では積極的な議論が交わされ、自分たちの意見を広めてきた。高齢者は、自分たちのより良い未来のために政治を変えてきたのだ。


若者の反旗

l  バージニア21

 バージニア州は、アメリカで最も高等教育機関が充実している地域のひとつだ。高校から大学までの進学率は80%、既卒者は30%と南東部の州では最高水準を誇る。これらは、バージニア21という若者たちの手によって勝ち取られてきたものだ。

 バージニア21とは、困難な状況にいる若者が政策決定の場にいないのはおかしいとして、2002年に生まれた政治活動を行う学生団体だ。彼らはPAC(政治資金委員会)を設立し、若者が直面する問題に取り組んでくれそうな政治家を選び、資金を提供した。彼らはデモ行進などをしない。怒らず、声を荒げず、紳士的にふるまい行動を起こしている。例として、学生から集めた数十万枚の銅貨と丁寧な説明で、学生たちの熱意、予想される利益を伝え、教育予算を前年より27500万ドル増額させた。また、年々高くなる教科書の値段を下げる、教科書市場公正法も成立させるなど、続々と若者のための法案を成立させていっている。

 

l  インターネットでの活動

アメリカ国防総省がアメリカ全土の高校で行っているJROTC。貧困層や成績の悪い高校生を軍に勧誘するための特別プログラムだ。新兵が受ける訓練に似ており、このプログラムを修了した4割の生徒が軍に入隊するという。

このJROTCに不満を持った高校生たちが、ネットを使ってアメリカ中の高校生に呼びかけた。ブログ、掲示板、SNSなどを駆使し、JROTCの実態を伝えたのだ。反響は大きく、不安を持った高校生たちをネットでつなげることに成功した。オルバニイ高校のように、JROTCを閉鎖する高校も出てくることになり、ネットを使った高校生の勝利で終わった。

 ネットを使うことで様々な意見を聞き、情報を集める。事実を見極め、自分の考えを持つ。それらの大切さを物語った出来事である。

社会を変えるために

l  ライブ(対面)の力

国会議員は、演説する姿を街で見かけるか、テレビで見るだけの存在だったと、アントニオ・マルチネスは言う。しかし、高校のフィールドワークで下院議員に会い、彼は政治に興味が出た。大学2年の時は、インターンでワシントンにいるその議員のオフィスで2ヵ月働くことになった。政治の実態を理解し自信ができた彼は、ヒスパニックの代表を政治に送り込むための活動を行っている。

選挙では向こうから近づいてくる政治家も、選挙が終われば一気に距離が離れてしまう。自分の意見を伝えるため、相手の主張を知るため、直接会うことが大切になってくるのだ。

 

l  自由に物を言える立場を守る

ツイッター、ミクシィ、プロフ、フェイスブック、グリーなど、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は数多く存在する。これらは若者の発言、意見を共有する場として役立っている。しかし、アメリカではこれを阻止しようとする動きも高まっている。当局に不都合な書き込み、ブログなどは削除されてしまうのだ。これらの動きがどのように行われているのか、政治の場を見守る必要がある。ノーカットの国会中継をチェックし、テレビには出られないような少数政党の存在を知るのだ。自分たち国民の選択肢を広げるために、各政党の掲げる政策を知ることは重要である。

 

l  教育現場から社会を変える

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校に通い、アメリカの教育に対して絶望したリン・デイビス。良い点数を取るだけで終わってしまうと、アメリカはひどい国になってしまうと言う。彼女は教育というテーマにしぼった若者の活動を、ニューヨーク中に広げようと働きかけていた。その後、彼女はティーチ・フォー・アメリカ(TFA)に就職することとなった。

 TFAとは、ニューヨーク州に本部を置く公教育を支援するNPOだ。創設者のウェンディ・コップがプリンストン大学の卒業論文で、若者の理想主義とエネルギーを使って商品化された教育を救えることができないかということから考えられた。大学や大学院の新卒の若者たちを、数カ月間教師として訓練し、教員免許の有無に関わらず貧困地域の学校に2年間派遣する。派遣された彼らは、引き続き教師として働くか、教育関係の職業に就くことが多い。TFAで学んだ知識を生かし、様々な活動で教育を変えてきたのだ。

 

l  英語は最強の武器となる

ネットが国境を消しつつある現在において、その語学力が問われてくる。英語の簡単な文章が読めるだけで、ネットの世界は大きく広がる。SNSを使い様々な国の人と意見交換ができる。世界中のメディアから情報を入手でき、日本だけではなく、いろいろな視点からひとつの出来事を見られるのだ。自分と違う意見を他人から聞くことで、その世界は限りなく広がっていく。

 

 

l  日本での活動

 日本においては、TFAのようなNPOは約4万弱と、アメリカの約140万団体とは大きな開きが見られる。個人の寄付金も、アメリカの23兆円に対して2200億円と少ない。その原因として挙げられるのが、寄付の際の税制優遇体制が日本では整っていないことだ。しかし、最近になって、NPOに寄付すれば税金が減額される改正NPO法が成立した。日本の活動はこれからである。


参考文献

n  『ルポ 貧困大国アメリカ』 堤未果 岩波新書 2009年第22

n  『超大国アメリカの素顔』 久保文明 ウェッジ 2007年第1

n  『オバマ政権はアメリカをどのように変えたのか』 吉野孝+前嶋和弘 東信堂2010年第1

n  各用語はネットを使い調べました。

「ロビー活動」

http://m-words.jp/w/E383ADE38393E383BCE6B4BBE58B95.html

 

TFA

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB

 

AARP

http://www.kaigokiki.com/reports/b_number/200212reports.html


奥付



『社会の真実の見つけかた』 第四章 社会は変えられる 発表資料

著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/amarao/profile


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