インドの慈善事業団体フィフスピラーがこのほど、貨幣価値ゼロの0ルピー紙幣を発行したと、2日付け(現地時間)Telegragh.co.ukが報じた。貨幣価値のない紙幣を一体何の目的で使うのか。しかし、そこには意外な狙いがあった。インドで風土病化している賄賂を根絶するという目的でこの紙幣は発行されたのだ。

インドは賄賂が横行しており、年間3億ポンド(約4兆2,000億円)もの賄賂が支払われている。中には賄賂だけで億万長者になった者もいるという。特に行政腐敗は深刻を極め、その打開策として0ルピーを発行したのだ。駅の改札や公務員、警察に賄賂を要求された際には、この0ルピーを手渡すようにとフィフスピラーは勧めている。賄賂を求めてきた相手の手に、0ルピー紙幣を渡してしまえば、その場の難を逃れた上に自分のお金を支払うこともない。さらに、受け取った相手は無価値なお金であるために、それを悪用することも出来ないのだ。実際に0ルピーを使用し、その効果は実証されているという。紙幣にはガンジーが描かれており、本物の紙幣に似せて作られているとのことである。

この賄賂汚染に対する秘策は、海の水質改善のために、山の植樹に当たった佐賀県鹿島市の『海の森植林事業』に似ている。腐敗を起こしているシステム自体を利用して、内側から腐敗そのものを途絶えさせようという狙いは、秀逸と言えよう。時間は掛かるだろうが、いずれ高い効果が証明されるかもしれない。