同年サイバー戦司令部が空軍作戦司令部などと同列の部隊として創設された。2011年までに、米軍内のハッカー対策ネット専門家を80人から250人に増加し、目下、3000から5000人の情報戦専門家と5万から7万人の兵士がサイバー戦に従事している。
このような中国側の指摘は、米国もまたサイバー戦態勢を強化していることを示しており、米中ともにサイバー戦を平時から重視し、そのための態勢を固めていることを物語っている。
特にサイバー戦においては、万全のサイバー防衛策はない。相手の攻撃から貴重なデータやシステムを守るという防衛的な措置だけでは、いずれ必ず破られることになる。そのため、何らかの攻撃的な対抗措置を取らねば、攻撃を抑止できない、あるいは攻撃に対する代価を相手に払わせることができないという特性がある。
そのため、どの国でも攻撃的方法による対抗策を、大なり小なり講じなければならなくなる。攻撃的であることは侵略的であり、控えなければならないという論理はサイバー戦では通用しない。
3 中国の最終目的
中国のサイバー戦戦略の最終目的は、中国主導の国際インターネット網の創設にある。現状のままでは、中国のインターネット利用は危機状態になるとの危機感がその背景として強調されている。すなわち、中国側の上記文献によれば、中国側は以下のような主張を展開している。
インターネットが意義を持つには、各ネットが平等に連接され、それより上位のネットがあってはならないはずである。インターネットは人類全体にとっての重要な業績であり、米国の国際ネットは「USA-i-Net」と表記すべきである。
中国が公式に使用しているインターネットはUSA-i-Netであるが、これは米国が名づけたものである。本来なら、中国名で「互聯網」とすべきである。
また、中国のユーザーの使用地域名は「cn.」だが、中国人が使用しているIPアドレスは米国により割り当てられたもので、「cn.」は米国の統制を受けている。
現在の中国語のインターネット「互聯網」は米国の国際的ネットワークの一環である。「中国がネット大国」というのは、インターネットのユーザーが多いことに過ぎない。
現在中国はIPV6というインターネットの改造を行なっているが、セキュリティ(安全)についての問題は未解決である。ネットの理想とは関係なく、多額の資金を使い他国のために中国人は忙しく働かされている。
中国は、中国による国際的インターネット網(CHINA-i-Net)を構築すべきである。中国が米国と協議し、IPV9を使用し容量を拡大することで一致すれば、権利紛争も収まり、中国がインターネット網の根本を押さえることになるであろう。
国際間の平等が達成され、物質的基礎と思想的準備が連接される。そうなればどの国にも世界の将来のインターネットを付託することは不可能になる。