国防

インターネットを米国主導から奪取せよ!中国が仕かけるサイバー戦争の最終目標

2014.02.10(月)  矢野 義昭

 未来のインターネットでは、認証、識別、秘密保全について全く新しい概念と技術が出現し、人類のデジタル化世界は、平等で自由で責任を持って知識の大海を拡大することが可能になるであろう。

 インターネットに関する事象は、すべてCHINA-i-Netの基礎固めと関連づけるべきである。「北斗」という中国のGPSがその好例である。公衆に奉仕する者は中国国民に対し、中国には真のインターネットはまだ存在しないと告げるべきである。

 以上のような主張を展開しているが、その意味するところは重大である。中国が中心となり、米国を中心とする現在のインターネット網とは別の、新しい独自の、認証、識別、秘密保全などを持つインターネット網を構築することを主張している。

 また、IT関連の活動をすべてそのために集中すべきだとも述べている。このことは、宇宙その他の空間においても、軍事を含めた独自のインターネット網を構築することを意味しており、米国を中心として構築されてきた現在のシステム全般に対する正面からの挑戦とも言える。

 インターネット網を国際公共財と位置づけ、その国際的な公平性、平等性を要求するのは正当と言えるが、自国中心の新しいシステムを構築することを目指すという姿勢は、情報・サイバー空間での覇権交代を要求しているに過ぎないとも言えよう。

 このような中国の動向は、日本としても、注目していかねばならないが、他方では日本自らも、サイバー戦対処のための以下のような施策を早急に取る必要がある。

(1)政府としてのサイバー戦対処方針の確立と明示
(2)サイバー戦対処部隊の省庁・官民を超えた国家レベルの統合と増強、サイバー戦監督官庁・機関の指定または創設
(3)民間人材の活用、官民学の協力

(4)サイバー関連法制の整備、特に攻撃的サイバー戦の権限付与
(5)サイバー戦対応のための人材の育成
(6)関連機材の官民共同開発

(7)他国、国際社会との連携
(8)民間企業へのサイバー攻撃の報告義務づけとデータ解析、その成果の活用普及
(9)サイバー戦関連予算の増額、要員の確保

 特に、企業に対するサイバー攻撃の報告義務づけ、サイバー戦部隊の統合と攻撃的なサイバー戦実施のための法的権限の付与、民間人材の利用を保障する体制作り、サイバー戦に対する規制とサイバー攻撃対処協力のための国際的な枠組み作りなどが、効果的と思われるが、その実行は容易ではない。

 サイバー戦はまだまだ未開拓、未成熟な分野でもあり、官民学を挙げた一層の協力と一体となった対処が求められている。

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